韓国の原子力行政を担うMOST
電力を見直したい
先生、「MOST」って原子力発電の資料によく出てくるんですけど、なんの略かわかりますか?
電力の研究家
ああ、それは韓国の「科学技術処」の英語表記の略だね。Ministry of Science and Technology を略してMOSTというんだ。
電力を見直したい
科学技術処って、原子力発電とどう関係があるんですか?
電力の研究家
日本の原子力規制委員会のように、韓国では科学技術処の中の原子力室が原子力発電の安全規制などを行っているんだよ。
MOSTとは。
韓国では、科学技術の進歩を扱う行政機関を『科学技術処』と呼びます。この科学技術処の中に、原子力に関する業務を専門に行う『原子力室』という部署があります。原子力室には、原子力に関する政策を決める『原子力政策官』と、原子力の安全を確保する『安全審査官』がいます。
原子力政策官の下には、政策を考える『原子力政策課』、原子力の開発を進める『原子力開発課』、海外との協力を担当する『原子力国際協力課』があります。
安全審査官の下には、原子力の安全を守るためのルールを作る『原子力安全課』、原子力施設が正しく動いているかを確認する『原子力検査課』、放射線が安全に管理されているかを確認する『放射線安全課』があります。
また、科学技術処から業務を任されている『韓国原子力安全技術院』という組織があります。韓国原子力安全技術院は、原子力発電所や核燃料を使う施設が安全かどうかを審査したり、検査したり、安全基準を作る仕事などをしています。
原子力発電所や核燃料を使う施設を新しく建てたい場合は、科学技術処に申請書を提出します。申請書は、その後、韓国原子力安全技術院に送られ、詳しく審査されます。
韓国の科学技術をリードする機関
韓国の科学技術政策の中枢を担う機関、それが科学技術情報通信部、通称MOSTです。韓国語では「과학기술정보통신부」、英語では「Ministry of Science and ICT」と表記され、その名の通り、科学技術と情報通信、二つの分野を横断的に管轄している点が大きな特徴です。
MOSTは、基礎科学分野における研究開発支援から、人工知能やバイオテクノロジーといった先端技術分野の育成、そして、次世代通信網の構築やデジタル化の推進に至るまで、幅広い事業を統括しています。
韓国の未来を支える科学技術の振興、そして、世界をリードする情報通信技術の確立という重要な使命を担い、産学官連携を推進しながら、様々な政策やプロジェクトを推進しています。
その活動は、韓国国内に留まらず、国際的な協力関係の構築にも積極的に取り組み、世界各国と連携し、地球規模の課題解決にも貢献しています。
機関名 | 韓国語表記 | 英語表記 | 管轄範囲 | 特徴 | 使命 | 活動範囲 |
---|---|---|---|---|---|---|
科学技術情報通信部 (MOST) | 과학기술정보통신부 | Ministry of Science and ICT | 科学技術、情報通信 | 科学技術と情報通信の2分野を横断的に管轄 | 韓国の未来を支える科学技術の振興、世界をリードする情報通信技術の確立 | 韓国国内、国際的な協力関係の構築、地球規模の課題解決 |
原子力行政を担う原子力室
我が国の科学技術やエネルギー政策を担う科学技術情報通信部(MOST)には、原子力に関する行政を一手に担う専門部署である原子力室が設置されています。原子力室は、原子力の平和利用に関するあらゆる政策を統括し、その安全性の確保と利用技術の開発を推進することで、国のエネルギー政策における重要な役割を担っています。
原子力室の組織は、大きく2つの部門に分かれています。まず、原子力政策の全体像を描き、長期的な展望に立って政策の方向性を決定するのが政策部門です。政策部門は、国内のエネルギー事情や国際的な動向を分析し、原子力の開発と利用に関する中長期的な計画を立案します。また、原子力の平和利用に関する国際協力や、他国との原子力協定の締結なども担当しています。
一方、原子力施設の安全を確保するために、厳格な規制と審査を行うのが安全規制部門です。原子力発電所の新設や運転、廃炉に至るまで、そのすべての段階において、安全基準に基づいた厳正な審査を実施し、国民の生命と財産、そして環境を守るための安全対策を徹底しています。さらに、原子力施設で万が一事故が発生した場合に備え、迅速かつ的確に対応できるよう、緊急時対応計画の策定や訓練なども行っています。このように、原子力室は、高度な専門知識と豊富な経験を持つ職員によって構成され、原子力の安全と開発を両立させるという重要な使命を果たしています。
部門 | 役割 |
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政策部門 | – 原子力政策の全体像を描き、長期的な展望に立って政策の方向性を決定する – 国内外のエネルギー事情や国際的な動向を分析し、原子力の開発と利用に関する中長期的な計画を立案する – 原子力の平和利用に関する国際協力や、他国との原子力協定の締結などを担当する |
安全規制部門 | – 原子力施設の安全を確保するために、厳格な規制と審査を行う – 原子力発電所の新設や運転、廃炉に至るまで、そのすべての段階において、安全基準に基づいた厳正な審査を実施する – 国民の生命と財産、そして環境を守るための安全対策を徹底する – 原子力施設で万が一事故が発生した場合に備え、迅速かつ的確に対応できるよう、緊急時対応計画の策定や訓練なども行う |
原子力政策の3つの柱
– 原子力政策の3つの柱原子力室の政策部門は、大きく分けて3つの課が、それぞれの役割を担いながら韓国の原子力政策を推進しています。まず、原子力政策課は、韓国における原子力利用の全体像を描き、将来を見据えた長期的な計画の策定や、それを実現するための関連法規の整備などを担当しています。国のエネルギー政策における原子力の位置付けを明確化し、安全性を確保しながら安定的に原子力発電を推進していくための基盤を築く役割を担っています。次に、原子力開発課は、原子力発電技術のさらなる開発や高度化、そして将来を見据えた新型原子炉の開発などを推進することで、韓国の原子力技術の向上を図っています。具体的には、原子炉の安全性や効率性を高めるための研究開発や、使用済み核燃料の処理・処分技術の開発などに取り組んでいます。これらの活動を通して、世界最先端の原子力技術を有する国を目指しています。最後に、原子力国際協力課は、国際原子力機関(IAEA)をはじめとする国際機関や、原子力技術の進んだ国々との協力関係を強化することで、国際的な原子力協力の枠組みの中で韓国の立場を向上させるための活動を行っています。具体的には、原子力技術の平和利用に関する国際的なルール作りに積極的に参加したり、途上国への原子力技術の支援などを通して、国際社会における韓国のプレゼンス向上に貢献しています。これらの3つの課の有機的な連携により、韓国は安全で安定した原子力発電の実現と、原子力技術の進歩という目標を達成し、国際社会における責任と役割を果たしていくことを目指しています。
課 | 役割 | 活動内容 |
---|---|---|
原子力政策課 | 韓国における原子力利用の全体像を描き、将来を見据えた長期的な計画の策定や、それを実現するための関連法規の整備などを担当 | – 国のエネルギー政策における原子力の位置付けを明確化 – 安全性を確保しながら安定的に原子力発電を推進するための基盤を築く |
原子力開発課 | 原子力発電技術のさらなる開発や高度化、そして将来を見据えた新型原子炉の開発などを推進することで、韓国の原子力技術の向上を図る | – 原子炉の安全性や効率性を高めるための研究開発 – 使用済み核燃料の処理・処分技術の開発 – 世界最先端の原子力技術を有する国を目指す |
原子力国際協力課 | 国際原子力機関(IAEA)をはじめとする国際機関や、原子力技術の進んだ国々との協力関係を強化することで、国際的な原子力協力の枠組みの中で韓国の立場を向上させるための活動を行う | – 原子力技術の平和利用に関する国際的なルール作りに積極的に参加 – 途上国への原子力技術の支援 – 国際社会における韓国のプレゼンス向上に貢献 |
原子力安全を支える3つの課
原子力発電所は、私たちに電気を供給してくれる一方で、ひとたび事故が起きれば、取り返しのつかない被害をもたらす可能性も秘めています。そのため、原子力発電所の安全確保は、何よりも重要な課題です。原子力室の安全規制部門には、この重要な使命を担うべく、原子力安全課、原子力検査課、放射線安全課の三つの課が設置されています。
原子力安全課は、原子力発電所の設計、建設、運転、廃止措置といったあらゆる段階において、安全性を確保するための規制基準を定め、その基準に基づいて、新規原子炉の設計が妥当かどうかを審査する役割を担っています。原子力検査課は、原子力安全課が定めた規制基準に基づき、原子力発電所の建設中や運転中の検査を行い、基準に適合しているかを厳しくチェックします。実際に発電所へ出向いて検査を行うことで、机上の計画通りに安全対策が実施されているかを確認し、問題があれば是正を求めます。放射線安全課は、原子力発電所や放射性物質を取り扱う施設から、放射線が漏れ出すことを防ぎ、国民の健康と周辺環境を守るための規制や監視を行っています。具体的には、放射線量の測定や、放射性物質の管理状況の検査、そして、万が一、放射線漏れ事故が発生した場合に備えた緊急時対応計画の策定などを行っています。
このように、原子力室の安全規制部門は、三つの課がそれぞれの役割を全うすることで、国民の安全と安心を守るという重要な使命を果たしています。
課 | 役割 |
---|---|
原子力安全課 | 原子力発電所の設計、建設、運転、廃止措置のあらゆる段階における安全確保のための規制基準策定と新規原子炉設計審査 |
原子力検査課 | 原子力安全課の定める規制基準に基づいた、原子力発電所の建設中・運転中の検査、安全対策実施状況の確認、問題点是正要求 |
放射線安全課 | 原子力発電所や放射性物質を取り扱う施設からの放射線漏れ防止、放射線量測定、放射性物質管理状況検査、緊急時対応計画策定による国民の健康と周辺環境保護 |
安全審査を担うKINS
– 安全審査を担うKINS韓国の原子力施設の安全性を確保するため、科学技術情報通信部(MOST)から安全審査業務を委託されている専門機関、それが韓国原子力安全技術院(KINS)です。KINSは原子力発電所をはじめ、核燃料サイクル施設といった施設の建設や運転に関わる安全審査を独立して行う重要な役割を担っています。KINSの審査は、原子力施設の設計や建設、運転、廃止措置に至るまで、その全段階において、国際的な基準に基づき、科学的かつ技術的な観点から厳格に実施されます。具体的には、地震や津波といった自然災害に対する安全性、機器の故障や人的ミスの防止対策、放射性物質の管理体制などが評価項目となります。KINSは、これらの審査を通じて、原子力施設の安全性を客観的に評価し、その結果を国民に公表することで、透明性の確保にも努めています。さらにKINSは、安全審査に加えて、原子力施設の安全基準となるコードの開発や、原子力安全に関する研究開発にも積極的に取り組んでいます。これらの活動を通じて、常に最新の技術や知見を安全審査に反映させ、韓国の原子力安全の向上に貢献しています。原子力施設の安全性に対する国民の信頼を築き、安全文化を根付かせるため、KINSは、これからも重要な役割を担い続けます。
機関名 | 役割 | 審査内容 | 活動内容 |
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韓国原子力安全技術院(KINS) | 韓国の原子力施設の安全審査を独立して行う専門機関 | 原子力施設の設計・建設・運転・廃止措置における安全性審査 (地震・津波対策、機器故障・人的ミス防止対策、放射性物質管理体制等) |
・安全審査 ・原子力施設の安全基準となるコードの開発 ・原子力安全に関する研究開発 |
建設許可申請と審査
韓国では、原子力発電所や核燃料を取り扱う施設を新たに建設する際には、事業者は設置許可を取得した後、科学技術情報通信部に建設許可を申請しなければなりません。
建設許可の申請にあたっては、事業者は施設の設計や建設、運転、そして廃炉に関する計画などをまとめた申請書を提出します。
科学技術情報通信部は、提出された申請書を受理すると、原子力安全委員会傘下の原子力安全技術院に対し、申請内容の安全審査を依頼します。原子力安全技術院は、申請書に記載された原子炉の設計や安全対策が、韓国の定める厳格な安全基準を満たしているかどうかを詳細に審査します。
原子力安全技術院による審査の結果、安全性が確認されれば、科学技術情報通信部は事業者に対して建設許可を発行します。
このように、韓国では、科学技術情報通信部と原子力安全技術院という二つの機関が協力し、原子力施設の安全確保に万全を期しています。
段階 | 担当機関 | 提出書類・内容 | 備考 |
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設置許可取得後 | 事業者 | 建設許可申請書(施設の設計・建設・運転・廃炉に関する計画) | 科学技術情報通信部へ提出 |
申請書受理後 | 科学技術情報通信部 | 申請内容の安全審査依頼 | 原子力安全技術院へ依頼 |
安全審査 | 原子力安全技術院(原子力安全委員会傘下) | 申請書記載内容(原子炉の設計・安全対策) | 韓国の安全基準を満たしているか審査 |
審査結果(安全性確認後) | 科学技術情報通信部 | 建設許可発行 |