韓国の電力事情-KHNPとその役割-

韓国の電力事情-KHNPとその役割-

韓国電力公社の分割とKHNPの設立

2001年4月、韓国の電力業界は大きな変革を迎えました。40年間、発電から送電までを一手に担い、独占状態であった韓国電力公社（KEPCO）が、電力自由化の波に乗り、より効率的な事業運営を目指して分割されることになったのです。 これは、政府主導の改革の一環として行われました。
具体的には、発電部門は競争を促進するため、KEPCOから完全に独立した５つの火力発電会社と、１つの水力・原子力発電会社に分割されました。一方、送電・配電部門は、引き続きKEPCOが独占的に担当することになりました。これは、送電網という社会インフラの安定供給を維持するためです。
こうして誕生した水力・原子力発電会社こそが、KHNP（Korea Hydro＆Nuclear Power）です。KHNPは、韓国の電力需要の約3割を供給する、韓国最大の電力会社として新たなスタートを切りました。

韓国最大の電力会社 KHNP

韓国電力公社、通称KHNPは、その名の通り韓国で最も大きな電力会社です。国内に点在する発電所の設備のうち、実に29％をKHNPが保有しています。
2006年時点のデータでは、KHNPは4箇所に原子力発電所を建設し、合計20基の原子炉を稼働させています。これらの原子力発電所は、韓国の電力需要の約4割を供給するほど、大きな発電能力を誇ります。
原子力発電以外にも、KHNPは水力発電にも力を入れています。10箇所の水力発電所には合計27基の発電機が設置され、国内の水力発電量の14％を供給しています。このように、KHNPは原子力発電と水力発電の双方において、韓国の電力供給を支える重要な役割を担っているのです。

原子力発電におけるKHNPの役割

韓国電力公社(KHNP)は、韓国における原子力発電の中核的な役割を担っています。

KHNPは、新規原子力発電所の建設を積極的に推進しています。例えば、新古里原子力発電所では4基、新月城原子力発電所では2基の原子炉を新たに建設し、増加する国内のエネルギー需要に対応しています。

原子力発電は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量が少ないことから、環境負荷の低いエネルギー源として注目されています。韓国においても、地球温暖化対策は重要な課題であり、原子力発電はその解決策の一つとして期待されています。

KHNPは、原子力発電所の安全運転を最優先に取り組むとともに、更なる技術開発を通じて、より安全で効率的な原子力発電を目指しています。そして、韓国のエネルギー供給の安定化と、環境保全の両立に貢献していきます。

韓国の電力自由化とKHNP

韓国では、2002年12月に電力事業法が改正され、電力産業の自由化に向けた大きな一歩が踏み出されました。この改正は、それまで国家が独占していた電力事業に民間企業の参入を促し、競争を導入することで、より安価で効率的な電力供給体制を構築することを目的としていました。

この電力事業法の改正を受けて、火力発電会社は2002年2月から段階的に民営化が進められ、2009年までには電力業界全体の自由化が目指されました。これは、韓国経済の活性化と電力供給の安定化を両立させるための重要な政策転換でした。

このような電力自由化の流れの中で、韓国水力原子力発電（KHNP）は、その巨大な規模と高度な技術力を武器に、競争の激しい電力市場においても重要な役割を担うことが期待されています。KHNPは、原子力発電所の建設や運転、保守管理などにおいて豊富な経験と高い専門性を有しており、自由化された電力市場においても、その技術力は大きな強みとなるでしょう。さらに、KHNPは、再生可能エネルギーの開発にも積極的に取り組んでおり、将来の電力需要の変化にも柔軟に対応していくことが予想されます。