エネルギーの基礎: 一次エネルギー供給量とは?
電力を見直したい
「一次エネルギー供給量」って、何か具体的に教えてください。
電力の研究家
たとえば、石油や石炭、太陽光など、私たちがエネルギーを得るための元となる資源があるよね。これらの資源から、一年間にどれだけのエネルギーを取り出せるのかを表したのが「一次エネルギー供給量」だよ。
電力を見直したい
一年間でどれだけのエネルギーを取り出せるのか…ということは、たくさん資源があれば、「一次エネルギー供給量」も大きくなるんですか?
電力の研究家
その通り!資源が多ければ供給量も大きくなる。他にも、輸入や輸出、在庫の量も関係してくるんだ。エネルギーバランス表を見ると、それぞれの関係がもっとよくわかるよ。
一次エネルギー供給量とは。
「一次エネルギー供給量」という言葉は、石炭や石油、原子力、太陽光、風力といったエネルギーの元から、ある期間にどれだけのエネルギーが供給されたかを示す言葉です。ふつうは、一年間の合計量で表します。日本で作るエネルギーの統計表では、供給量の全体量と国内で使う量の二つに分けて考えます。全体量は、国内で作った量と輸入した量を合わせたものです。国内で使う量は、全体量から輸出した量と在庫の増加量を引いたものです。海外では、国際エネルギー機関が国や地域ごとのエネルギーの統計表を毎年作っていて、そこでは国内で作った量に輸入した量を足し、輸出した量、国際的な船舶の燃料に使った量、在庫の増加量を引いたものを「一次エネルギー総供給量」と定義しています。原子力や太陽光、風力などで発電された電気は、火力発電の平均的な熱効率を使って、一次エネルギーに換算されますが、この換算に使う係数は統計表を作る機関によって違います。特に、国際エネルギー機関は原子力と水力発電については、それぞれ33%、100%という異なる換算係数(発電効率)を使っているので注意が必要です。
エネルギー供給量の全体像
私たちの暮らしや経済活動を陰ながら支えているエネルギー。その供給源は、石油や石炭といった化石燃料、原子力、太陽光や風力といった再生可能エネルギーなど、多岐にわたります。これらの多様なエネルギー源から、ある一定期間にどれだけのエネルギーが供給されたのかを示す指標が「一次エネルギー供給量」です。
この指標は、一年間の合計量で表されることが一般的で、エネルギーの需給状況を把握する上で欠かせない重要なデータとなります。
例えば、ある年の一次エネルギー供給量が前年と比べて増加していた場合、経済活動の活発化や国民生活の水準向上によってエネルギー需要が高まったと推測できます。逆に、減少していた場合は、省エネルギーの取り組みが進展した、もしくは経済活動が停滞したなどの要因が考えられます。
一次エネルギー供給量の構成比をエネルギー源別に見ると、それぞれのエネルギー源への依存度や、エネルギー政策の成果などを分析することができます。近年、地球温暖化対策として、二酸化炭素排出量の少ない再生可能エネルギーの導入が推進されています。一次エネルギー供給量における再生可能エネルギーの割合が増加しているかどうかも、重要な注目点と言えるでしょう。
用語 | 説明 |
---|---|
一次エネルギー供給量 | 一定期間に供給されたエネルギーの総量を示す指標。年間の合計量で表されることが多い。 |
化石燃料 | 石油や石炭など、過去の生物の遺骸から生成された燃料。エネルギー源として利用されるが、二酸化炭素排出量が大きい。 |
再生可能エネルギー | 太陽光、風力など、自然界で繰り返し利用可能なエネルギー源。二酸化炭素排出量が少なく、地球温暖化対策として注目されている。 |
国内と海外のエネルギー収支
日本のエネルギー事情を把握するためには、エネルギーバランス表が重要な役割を担っています。この表は、国内でどれだけのエネルギーが生産され、消費されているのかを明らかにするものです。具体的には、国内で生産されたエネルギーと輸入によって得られたエネルギーを合計したものを「総供給量」と定義しています。そして、この「総供給量」から輸出量や在庫の増加分を差し引くことで、「国内供給量」を算出します。これらの指標を用いることで、エネルギーの流れを可視化し、国内のエネルギー需給状況を分析することができます。
一方、世界のエネルギー事情を比較分析するためには、国際エネルギー機関(IEA)が毎年作成する世界各国・地域のエネルギーバランス表が用いられます。国際的な視点では、「一次エネルギー総供給(TPES)」という指標が用いられます。TPESは、国内のエネルギー生産量に輸入量を加え、そこから輸出量、国際船舶燃料消費量、在庫純増を差し引いたものです。このように、国際的な定義と国内の定義には違いがあるため、エネルギー収支を比較分析する際には注意が必要です。
指標 | 定義 | 備考 |
---|---|---|
総供給量 | 国内で生産されたエネルギー + 輸入によって得られたエネルギー | 日本のエネルギーバランス表で使用 |
国内供給量 | 総供給量 – 輸出量 – 在庫の増加分 | 日本のエネルギーバランス表で使用 |
一次エネルギー総供給(TPES) | 国内のエネルギー生産量 + 輸入量 – 輸出量 – 国際船舶燃料消費量 – 在庫純増 | 国際エネルギー機関(IEA)が使用 |
電力におけるエネルギー換算
電力におけるエネルギー換算は、異なるエネルギー源を比較し、全体のエネルギー需給を把握する上で重要な役割を担います。原子力発電や再生可能エネルギー発電では、発電所で直接電力が作られますが、エネルギー統計上では、これらの電力も一次エネルギーに換算する必要があります。
一次エネルギーとは、石油、石炭、天然ガスといった自然界に存在する状態のエネルギーを指します。一方、電力のような、一次エネルギーを変換して作られるエネルギーは二次エネルギーと呼ばれます。エネルギー統計では、異なる種類のエネルギー源を比較するために、全てのエネルギーを一次エネルギーに換算して表すことが一般的です。
電力を一次エネルギーに換算する際には、一般的に火力発電の平均的な熱効率が用いられます。火力発電は、燃料を燃焼させて熱エネルギーを作り出し、その熱で水を沸騰させて蒸気を作ります。そして、その蒸気の力でタービンを回し、発電機を動かして電力を発生させます。この一連の過程で、燃料のエネルギーの一部が電力に変換されますが、変換の過程ではどうしてもエネルギーの損失が発生します。火力発電の熱効率とは、燃料のエネルギーのうち、どれだけを電力に変換できたかを示す割合です。
電力を一次エネルギーに換算するということは、火力発電所で同じ量の電力を作り出すのに、どれだけの一次エネルギーが必要かを計算することを意味します。火力発電の熱効率が低い場合は、電力を作り出すのに多くの燃料が必要となり、結果として一次エネルギーの値は大きくなります。逆に、熱効率が高い場合は、少ない燃料で電力を作り出すことができるため、一次エネルギーの値は小さくなります。
このように、電力を一次エネルギーに換算することで、異なるエネルギー源を共通の尺度で比較することが可能となり、エネルギー全体の需給状況をより正確に把握することができます。
エネルギーの種類 | 説明 | 例 |
---|---|---|
一次エネルギー | 自然界に存在する状態のエネルギー | 石油、石炭、天然ガスなど |
二次エネルギー | 一次エネルギーを変換して作られるエネルギー | 電力など |
項目 | 説明 |
---|---|
火力発電の熱効率 | 燃料のエネルギーのうち、電力に変換できた割合 |
電力を一次エネルギーに換算 | 火力発電所で同じ量の電力を作り出すのに必要な一次エネルギー量を計算すること |
換算係数の違いに注意
エネルギーの使用量や発電量を比較する際、電力から一次エネルギーへ換算することがよくあります。しかし、この換算に用いる係数(発電効率)は、統計データを作成する機関によって異なる場合があり、注意が必要です。
例えば、国際エネルギー機関(IEA)では、原子力発電の発電効率を33%としていますが、水力発電の発電効率は100%としています。これは、原子力発電所では、ウラン燃料の核分裂反応で発生する熱エネルギーを、水蒸気へと変換し、タービンを回して電力を得る過程で、エネルギーの損失が避けられないためです。一方、水力発電は、ダムに貯めた水の位置エネルギーを運動エネルギーに変換し、その力でタービンを回して発電するため、エネルギー変換の効率が高いとされています。
このように、同じ電力として扱っていても、発電方法によって一次エネルギーへの換算係数が異なります。そのため、統計データを参照する際には、どの機関が作成したデータなのか、どのような換算方法が用いられているのかをしっかりと確認することが重要です。
発電方法 | 発電効率 | 備考 |
---|---|---|
原子力発電 | 33% (IEA) | ウラン燃料の核分裂エネルギーを電力に変換する過程でエネルギー損失あり |
水力発電 | 100% (IEA) | 水の位置エネルギーを運動エネルギー、そして電力に変換する効率が高い |