LNG火力発電:クリーンで高効率なエネルギー源
電力を見直したい
先生、「LNG火力発電」って石炭火力発電より二酸化炭素の排出量が少ないんですよね? なんでそんなに違うんですか?
電力の研究家
良い質問だね! LNG火力発電は、石炭火力発電に比べて、燃料となる天然ガスが燃える時に出す二酸化炭素の量がもともと少ないんだ。それに加えて、LNG火力発電は発電の効率が良いことも、二酸化炭素排出量が少ない理由の一つだよ。
電力を見直したい
発電の効率が良いってどういうことですか?
電力の研究家
同じ量の電気を作るのに、石炭火力発電よりもLNG火力発電の方が使う燃料の量が少なくて済むということだよ。燃料を燃やす量が少なければ、当然二酸化炭素の排出量も減るよね。
LNG火力発電とは。
「原子力発電に関する用語」とは少し違いますが、「LNG火力発電」について説明します。「LNG火力発電」とは、液化天然ガスを燃料にして電気を作る発電方法のことです。
石炭火力発電と比べて、二酸化炭素の排出量が約6割程度と少なく、環境への負荷が低い発電方法です。発電効率が高く、電気の出力調整もしやすいという特徴があります。
これらの特徴から、都市部に近い場所や、電力需要が中程度の時間帯(ミドルピーク)の電力供給源として期待されています。
LNG火力発電を行うには、液化天然ガスを受け入れる基地、貯蔵する施設、ポンプ、ガスを送る設備、気化させる設備などが必要です。気体になった天然ガスは、発電設備に送られます(図1)。発電方法には、蒸気タービンを使う方法や、コンバインドサイクルという方法などがあります。
LNG火力発電とは
– 液化天然ガス火力発電とは
液化天然ガス火力発電とは、文字通り液化天然ガスを燃料として電気を作る発電方法です。液化天然ガスは、英語でLiquified Natural Gasといい、その頭文字をとってLNGと表記されます。
天然ガスは、そのままでは体積が大きすぎて効率的に運ぶことができません。そこで、マイナス162度まで冷却して液体にすることで、体積を約600分の1にまで縮小させます。
こうして作られたLNGは、専用の船で発電所まで運ばれます。発電所では、再び気体に戻したLNGを燃焼させてタービンを回し、発電機を動かして電気を作ります。
LNG火力発電は、従来の石炭火力発電と比べて、二酸化炭素の排出量が約半分と、環境負荷が低い点が特徴です。また、エネルギー効率にも優れており、近年注目を集めています。
項目 | 内容 |
---|---|
燃料 | 液化天然ガス (LNG) |
LNGの生成 | 天然ガスを-162℃に冷却し、体積を約600分の1に縮小 |
輸送 | 専用の船で発電所まで輸送 |
発電方法 | LNGを気体に戻し燃焼、タービンを回し発電機を駆動 |
メリット | – CO2排出量は石炭火力発電の約半分 – エネルギー効率が高い |
LNG火力発電の仕組み
– 液化天然ガス火力発電の仕組み液化天然ガス(LNG)火力発電所では、海外から船で運ばれてきた液化天然ガスを、まず、港に併設されたLNG受入基地で受け入れます。LNGはマイナス162度という極低温で液体の状態になっており、専用のタンクに貯蔵されます。発電所で作られる電気の量に応じて、必要な量のLNGをタンクから取り出し、気化装置で気体に戻します。
気体に戻った天然ガスは、発電設備の中心となるガスタービンに送られます。ガスタービンは、巨大なジェットエンジンのようなもので、内部で天然ガスを燃焼させ、高温・高圧のガスを発生させます。このガスがタービンを高速回転させることで、電気が作られます。
ガスタービンを回転させた後のガスは、まだ高温の排熱として残っています。そこで、排熱回収ボイラーと呼ばれる装置を使ってその熱を回収し、水を加熱して蒸気を発生させます。この蒸気で蒸気タービンを回転させることで、さらに多くの電気を作り出すことができます。
蒸気タービンを回転させた後の蒸気は、復水器で冷やされて水に戻り、再びボイラーに送られます。このように、LNG火力発電では、蒸気を循環させて何度も利用することで、エネルギーを無駄なく使い、高い発電効率を実現しています。
工程 | 説明 |
---|---|
LNG受入・貯蔵 | – 液化天然ガス(LNG)を海外から船で輸入し、LNG受入基地で受け入れる。 – LNGは-162℃の極低温で液体の状態であるため、専用のタンクに貯蔵する。 |
気化・燃焼 | – 発電量に応じて、必要な量のLNGをタンクから取り出し、気化装置で気体に戻す。 – 気体に戻った天然ガスをガスタービンに送り、燃焼させることで高温・高圧のガスを発生させる。 |
ガスタービン発電 | – 高温・高圧のガスでガスタービンを高速回転させることで、電気を生成する。 |
排熱回収・蒸気発電 | – ガスタービン回転後の高温の排熱を、排熱回収ボイラーで回収し、水を加熱して蒸気を発生させる。 – この蒸気で蒸気タービンを回転させ、さらに電気を生成する。 |
蒸気復水・循環 | – 蒸気タービンを回転させた後の蒸気は、復水器で冷やされて水に戻し、再びボイラーに送る。 – 蒸気を循環させて何度も利用することで、エネルギーを無駄なく使い、高い発電効率を実現する。 |
LNG火力発電のメリット
液化天然ガス(LNG)火力発電は、従来の石油や石炭を燃料とする火力発電と比較して、環境への負荷が低い発電方法として注目されています。
LNGの最大の特徴は、燃焼時に発生する二酸化炭素の排出量が、石油や石炭と比べて約6割も少ないことです。二酸化炭素は地球温暖化の原因物質の一つとされており、その排出量削減は世界共通の課題です。LNG火力発電は、地球温暖化対策に大きく貢献する発電方法と言えるでしょう。
また、LNG火力発電は、大気汚染物質の排出量が少ないことも大きな利点です。発電時に発生する硫黄酸化物や窒素酸化物は、酸性雨や呼吸器疾患の原因となります。 LNG火力発電では、これらの有害物質の排出量が、石油や石炭火力発電と比較して大幅に抑えられます。 そのため、LNG火力発電は、よりクリーンな大気を実現するための有効な手段となります。
さらに、LNG火力発電は、高い発電効率を誇り、燃料費も比較的安価であるため、経済的なメリットも大きい発電方法です。 環境保全と経済発展の両立を目指す上で、LNG火力発電は極めて重要な役割を担っていると言えるでしょう。
項目 | LNG火力発電 | 石油・石炭火力発電 |
---|---|---|
CO2排出量 | 少ない(石油・石炭の約4割) | 多い |
大気汚染物質排出量 | 少ない | 多い |
発電効率 | 高い | 低い |
燃料費 | 安価 | 高価 |
LNG火力発電の用途
液化天然ガス(LNG)を用いた火力発電は、その優れた環境性能と出力調整の柔軟性から、多様な用途で期待されています。特に、人口が集中し、エネルギー需要の高い都市部においては、その利点が際立ちます。
従来の火力発電と比較して、LNG火力発電は大気汚染物質の排出量が大幅に少ないのが特徴です。そのため、大都市圏の電力供給源として、環境負荷低減に大きく貢献します。 特に、窒素酸化物や硫黄酸化物といった大気汚染物質の排出量は、石炭火力発電と比べて大幅に削減できます。このため、大都市圏の大気をきれいに保ち、住民の健康を守る上でも重要な役割を担います。
また、LNG火力発電は、電力需要の変化に合わせて出力を迅速かつ柔軟に調整することができます。この点は、太陽光や風力といった自然条件に左右される再生可能エネルギーと組み合わせる上で非常に重要です。 太陽光発電は日照時間の影響を受け、風力発電は風の強さに左右されるため、電力の安定供給には、出力調整が容易な電源が不可欠です。 LNG火力発電は、再生可能エネルギーの欠点を補い、安定した電力供給を実現する上で、重要な役割を担うことが期待されています。
項目 | 内容 |
---|---|
燃料 | 液化天然ガス(LNG) |
メリット | – 環境性能の良さ:大気汚染物質の排出量が少ない – 出力調整の柔軟性:電力需要の変化に迅速に対応可能 |
利点発揮の場面 | – 人口集中地域、エネルギー需要の高い都市部 – 再生可能エネルギーとの組み合わせ |
従来の火力発電と比較したLNG火力発電の特徴 | – 窒素酸化物や硫黄酸化物の排出量を大幅に削減 – 大都市圏の大気をきれいに保ち、住民の健康を守る |
再生可能エネルギーとの関連性 | – 太陽光や風力の出力変動を補完し、安定供給を実現 |
LNG火力発電の将来展望
液化天然ガス(LNG)を用いた火力発電は、今後の世界においても重要な役割を担うと期待されています。その理由として、地球温暖化への対策とエネルギーの安定供給という二つの側面があげられます。
まず、地球温暖化の観点から見ると、LNG火力発電は石炭火力発電と比べて二酸化炭素の排出量が約半分に抑えられます。そのため、世界的に脱炭素化が求められる中で、比較的環境負荷の低い発電方法として注目されています。
次に、エネルギーの安定供給という点では、LNGはパイプラインで輸送する天然ガスと比べて貯蔵や輸送が容易であるという利点があります。このため、エネルギー資源の偏在による供給不安のリスクを低減し、安定したエネルギー供給を実現する手段として期待されています。
特に、経済成長が著しいアジア諸国では、電力需要の増加が見込まれており、LNG火力発電の必要性はますます高まると予想されます。日本は、世界最大のLNG輸入国として、LNG火力発電の技術開発や設備導入において世界をリードしてきました。今後も、LNG火力発電の普及を促進していくことで、地球環境の保全と経済発展の両立に貢献していくことが求められます。
項目 | LNG火力発電のメリット |
---|---|
地球温暖化対策 | 石炭火力発電と比べて二酸化炭素排出量が約半分に抑えられる |
エネルギーの安定供給 | 貯蔵や輸送が容易なため、供給不安のリスクを低減できる |