オゾン層

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光化学反応:光のエネルギーが織りなす化学の世界

- 光化学反応とは光化学反応とは、物質が光を吸収することによって引き起こされる化学反応のことです。光は私たちにとって、物を照らし、色を認識することを可能にするものですが、それだけではありません。光はエネルギーを持っているため、物質に照射されると、そのエネルギーを物質に与えることができます。物質はこの光エネルギーを受け取ることで、通常の状態よりもエネルギーの高い状態、つまり活性化状態になります。活性化状態になった物質は、熱エネルギーだけでは起こすことのできない化学変化を起こすことができます。 このような、光エネルギーを利用して起こる化学反応が光化学反応です。光化学反応の身近な例としては、植物が行う光合成が挙げられます。植物は、太陽光から光エネルギーを受け取り、そのエネルギーを使って水と二酸化炭素からデンプンや酸素を作り出しています。私たちが毎日食べているお米やパン、野菜なども、元をたどれば太陽の光エネルギーから作られたものと言えるでしょう。光合成以外にも、私たちの身の回りには、光化学反応を利用したものがたくさんあります。 写真撮影では、フィルムやデジタルカメラのセンサーに光が当たることで化学反応が起き、画像として記録されます。太陽電池は、光エネルギーを電気に変換する装置であり、ここでも光化学反応が重要な役割を担っています。 また、私たちがものを見ることができるのも、目の網膜で起こる光化学反応のおかげです。このように、光化学反応は私たちの生活に欠かせない様々な現象に関わっており、エネルギー問題や環境問題の解決にもつながる重要な分野として、現在も盛んに研究が進められています。
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ウィーン条約とオゾン層保護への道のり

1970年代に入ると、一部の国々で地球規模の環境問題に対する意識が芽生え始めました。その中でも特に深刻な問題として認識されたのが、オゾン層の破壊です。オゾン層は、太陽から放射される有害な紫外線を吸収し、地球上の生物を守るという重要な役割を担っています。しかし、冷蔵庫やスプレー缶などに使用されていたフロンガスといった特定の化学物質が、このオゾン層を破壊することが明らかになったのです。 オゾン層の破壊は、地球全体に降り注ぐ紫外線の量を増やし、皮膚がんや白内障などの病気増加のリスクを高めるだけでなく、生態系にも深刻な影響を与えることが懸念されました。このため、国際社会全体で協力し、オゾン層破壊物質の排出を抑制する必要性が叫ばれるようになりました。国際的な連携強化が求められる中、1985年にはオゾン層保護に関するウィーン条約が採択され、具体的な対策に向けた取り組みが本格化していくことになります。
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地球温暖化とHFC:その影響と対策

かつて、冷蔵庫やエアコンを冷やすために欠かせなかったフロンガスは、地球のオゾン層を破壊する物質として、世界中で使用が規制されることになりました。そこで、フロンガスの代わりに導入されたのがハイドロフルオロカーボン(HFC)という物質です。HFCはオゾン層を破壊しないため、当初は環境に優しい代替物質として期待されていました。 しかし、その後の研究によって、HFCは地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの一種であり、しかも二酸化炭素の数百倍から数万倍という非常に強い温室効果を持つことが明らかになってきました。 皮肉なことに、オゾン層保護の取り組みが、地球温暖化という別の環境問題を引き起こす一因となってしまったのです。 このため、HFCについても国際的な規制が始まっています。2016年に採択された「キガリ改正」では、先進国を中心にHFCの生産と消費を段階的に削減することが義務付けられました。日本もこの改正に基づき、HFCの使用量の削減を進めています。 フロンガスからHFCへの転換は、当初は環境問題の解決策として期待されましたが、予期せぬ形で新たな問題を引き起こすことになりました。この出来事は、環境問題への対策には、長期的な視点と多角的な分析が不可欠であることを教えています。