原子力発電の縁の下の力持ち: ORIGENコード
原子力発電所では、ウランなどを原料とする核燃料が原子炉内で核分裂反応を起こし、莫大なエネルギーを生み出します。この核分裂の過程で、エネルギー発生と同時に、ウランとは異なる様々な種類の原子核、すなわち放射性物質が生成されます。これらの放射性物質は不安定な状態にあり、時間経過とともに放射線を出しながら崩壊し、より安定な別の原子核へと変化していきます。この現象を放射性壊変と呼びます。
原子炉内では、核分裂による新たな放射性物質の生成と、放射性壊変による既存の放射性物質の消滅が同時に進行するため、その挙動は非常に複雑です。 原子炉の設計や安全性の評価、あるいは使用済み燃料を安全に管理するためには、これらの放射性物質の生成と消滅、そしてその量の変化を正確に把握することが不可欠です。
ORIGENコードは、このような原子炉内における放射性物質の生成と消滅、そしてその量の変化を計算するために開発された計算コードシステムです。ORIGENコードを用いることで、任意の時間経過後の原子炉内の放射性物質の種類と量を計算し、評価することができます。