クリプトン85

放射線について

原子力発電と放射性希ガス

私たちの身の周りには、目には見えないけれど、大切な役割を果たしている気体がたくさんあります。その中でも、「希ガス」と呼ばれる気体の仲間についてお話しましょう。 希ガスは、ヘリウムやネオン、アルゴンなどといった、他の物質と反応しにくい性質を持った気体たちのことです。例えば、ヘリウムガスを入れた風船は、なかなか萎みませんよね?これは、ヘリウムが他の物質と反応しにくいためです。 空気中にも、ごくわずかにですが、これらの希ガスが含まれています。無色透明で臭いもなく、私たちの目では見ることができません。しかし、目に見えないからといって、私たちの生活に関係ないわけではありません。 例えば、ネオンは、街の看板などで見かける、鮮やかな色の光を出すネオンサインに使われています。また、アルゴンは、電球の中に封入することで、フィラメントの寿命を長くするために使われています。さらに、医療現場では、ヘリウムがMRI検査に使われたり、キセノンが麻酔に使われたりと、様々な場面で活躍しています。 このように、希ガスは、私たちの生活の様々な場面で、陰ながら活躍している重要な気体なのです。
放射線について

クリプトン85: 原子力と私たちの生活

- クリプトン85とはクリプトン85は、原子番号36の元素であるクリプトンの放射性同位体です。クリプトンは周期表において希ガスに分類され、無色無臭で化学的に安定な元素として知られています。空気中にわずかに含まれている他、地球上にはごく微量しか存在しません。クリプトン85は、ウランやプルトニウムといった重い原子核が核分裂を起こす際に副産物として生み出されます。原子力発電所では、核燃料であるウランなどが核分裂反応を起こし、膨大なエネルギーを発生させます。この核分裂反応に伴い、様々な物質が生成されますが、その中にはクリプトン85も含まれています。クリプトン85は放射線を出すため、時間の経過とともにベータ崩壊という過程を経て、安定したルビジウム85へと変化していきます。ベータ崩壊とは、原子核の中性子が陽子と電子、そして反ニュートリノに変わることで、原子番号が一つ大きい元素に変化する現象です。クリプトン85の場合、このベータ崩壊によって原子番号37のルビジウム85へと変化します。クリプトン85の崩壊速度は比較的遅く、半減期は約10.76年です。これは、ある時点におけるクリプトン85の量が半分になるまでに約10.76年かかることを意味します。半減期が約10.76年ということは、21.52年後には元の量の4分の1に、32.28年後には8分の1になるといったように、時間とともに減衰していくことを示しています。