ジルコニア

核燃料

安定化ジルコニア:多機能セラミックス材料

ジルコニア(酸化ジルコニウム)は、アクセサリーなどに使われる宝石のような輝きを持つ物質です。しかし、その美しさだけでなく、温度変化に応じて性質が大きく変わる、まるで七変化するような不思議な物質としても知られています。 ジルコニアは、常温では単斜晶と呼ばれる構造をしています。これは、原子が規則正しく並んでいますが、少し歪んだ形をしている状態です。しかし、温度を上げていくと、1170℃付近で正方晶、さらに2370℃付近では立方晶へと変化します。これらの高温相は、常温の単斜晶とは異なり、原子がより規則的に並んだ構造をしています。 高温相のジルコニアは、強度や熱に対する強さなど、様々な面で優れた特性を示します。しかし、これらの高温相は冷却すると再び単斜晶に戻ってしまうため、高温での優れた特性を常温では十分に活かすことができませんでした。 そこで、近年注目されているのが、高温相のジルコニアを常温で安定化させる技術です。これは、ジルコニアにイットリウムなどの他の物質を少しだけ混ぜることで実現できます。このような安定化ジルコニアは、高温での優れた特性を保ったまま、常温でも使用することができるため、様々な分野での応用が期待されています。