原子力発電の基礎:直達放射線とは
- 直達放射線とは直達放射線とは、放射線を出す源から、私たち人間や建物といった対象物に、空気などを介することなく、直接到達する放射線のことを指します。太陽の光を例に考えてみましょう。太陽から地球に届く光は、途中で空気の層を通過しますが、太陽から直接届いている光は、広い意味で直達放射線の一種と言えるでしょう。原子力発電の分野においては、直達放射線は特に重要な意味を持ちます。例えば、原子力発電所で事故が起き、放射性物質が外部に放出されてしまったと仮定しましょう。この時、放出された放射性物質から、私たちの体に直接届く放射線が、直達放射線に当たります。直達放射線は、放射線源からの距離の二乗に反比例して弱まるという性質を持っています。つまり、放射線源から離れれば離れるほど、受ける放射線の量は少なくなります。原子力発電所の事故など、放射性物質が放出された状況下では、この直達放射線による被ばくを最小限に抑えることが重要です。そのためには、放射線源から可能な限り距離を置く、遮蔽物の中に避難するなどの対策が有効です。