中性子増倍率

原子力発電の基礎知識

原子力発電の基礎:4因子公式とは?

原子力発電は、ウランなどの核燃料を利用して膨大なエネルギーを生み出しています。核燃料に中性子を衝突させると、核分裂という現象が起こり、莫大なエネルギーが放出されるのです。この核分裂反応は、一度起こるとさらに中性子を放出し、その中性子がまた別の原子核に衝突して核分裂を起こすという連鎖反応を継続します。この連鎖反応が安定して続くことで、原子力発電所は電力を供給し続けることができるのです。 この連鎖反応の持続可能性を示す重要な指標が、「中性子増倍率」です。これは、ある世代の中性子が次の世代でどれだけの数の中性子を新たに生成するかを表す数値です。中性子増倍率が1より大きい場合は、連鎖反応が拡大し、制御不能な状態となる可能性があります。逆に1より小さい場合は、連鎖反応は次第に減衰し、やがて停止してしまいます。 原子炉の理論的なモデルとして、「無限大の原子炉」というものを考えます。これは、現実には存在しませんが、中性子が原子炉の外に漏れ出ないと仮定した仮想的な原子炉です。この無限大の原子炉において、中性子増倍率がちょうど1である状態が「臨界状態」と呼ばれます。臨界状態では、連鎖反応は一定の割合で持続し、安定したエネルギー供給が可能となります。原子力発電所では、この臨界状態を維持するように運転が制御されています。
核燃料

原子力発電の要:臨界濃度とは

原子力発電は、ウランなどの原子核が中性子を吸収して二つ以上の原子核に壊れる現象、つまり核分裂を利用した発電方法です。核分裂が起こると莫大なエネルギーが放出されますが、それと同時に新たな中性子も放出されます。 この放出された中性子が、周りのウラン原子核に吸収されると、さらに核分裂を引き起こします。このように、一つの核分裂が次々に新たな核分裂を引き起こす現象を連鎖反応と呼びます。 原子力発電では、この連鎖反応を制御しながらエネルギーを取り出しています。具体的には、核分裂で生じる中性子の数を調整することで、連鎖反応の速度を制御しています。 もし、この連鎖反応が制御を失い、無秩序に核分裂が起き続ける状態になると、膨大なエネルギーが短時間で放出され、原子爆弾のように爆発してしまう危険性があります。原子力発電所では、このような事態を防ぐため、厳重な安全対策がとられています。