原子力発電の未来を拓く:マイクロ波加熱脱硝法
原子力発電は、地球温暖化対策の切り札として期待されていますが、発電に伴い発生する使用済み燃料の処理は、解決すべき重要な課題として認識されています。使用済み燃料には、発電に利用されなかったウランやプルトニウムが依然として含まれており、これらの貴重な資源を回収し、再び燃料として利用する技術が使用済み燃料再処理です。
この再処理工程では、まず、使用済み燃料を溶解し、核分裂生成物からウランやプルトニウムを分離します。その後、分離されたウランやプルトニウムは、硝酸と反応させて硝酸溶液の形で回収されます。そして、この硝酸溶液から再び燃料として利用できる形に戻す工程が必要となります。
従来の方法では、高温の加熱炉を用いて硝酸溶液を処理していましたが、この方法には、処理に長時間を要する、設備が大規模になるなどの課題がありました。近年、マイクロ波のエネルギーを利用したマイクロ波加熱脱硝法が、従来の方法に代わる革新的な技術として注目されています。マイクロ波加熱脱硝法は、マイクロ波のエネルギーを利用することで、硝酸溶液を効率的に加熱し、短時間で処理することが可能となります。また、必要な設備もコンパクトになるため、処理効率の向上や設備の小型化に大きく貢献することが期待されています。