放射線被曝におけるデトリメント:確率的影響の評価
- デトリメントとは私たちが日常生活で浴びる放射線のように、低い線量の放射線による健康への影響を評価する際に用いられるのが「デトリメント」という考え方です。放射線は、大量に一度に浴びると、細胞や組織に直接的なダメージを与え、吐き気や脱毛といった身体的な影響(確定的影響)を引き起こします。しかし、身の回りにある家電製品や建物などから出ている放射線や、自然環境に存在する放射線など、普段私たちが浴びている程度の低い線量の放射線では、このような目に見える影響は現れません。低い線量の放射線による影響は、むしろ長い年月を経てから現れる可能性があります。具体的には、被曝した人が、その後の人生でがん等の病気にかかる確率が、被曝しなかった場合と比べてわずかに増加する可能性があり、これを確率的影響と呼びます。デトリメントは、この確率的影響によって失われる可能性のある健康な生活期間を、発生確率、被害の程度、発現までの時間などを考慮して、総合的に評価した指標です。例えば、ある程度の期間、ある程度の線量を浴びた人が、その後何年健康な生活を失う可能性があるのか、といったことを計算することができます。デトリメントは、放射線による健康リスクを定量的に評価し、放射線防護の基準を定めるために重要な概念となっています。