放射線計測の立役者:シングルチャンネル波高分析器
- シングルチャンネル波高分析器とは放射線を計測する場面では、様々なエネルギーを持った放射線が混在していることがよくあります。例えば、医療現場で使われるX線や、原子力発電所で発生する放射線などは、様々なエネルギーを持った放射線の集合体です。目的の検査や測定を正確に行うためには、多くのエネルギー帯を含む放射線の中から、特定のエネルギーを持った放射線だけを選択的に計測する必要があります。このような場面で活躍するのが、シングルチャンネル波高分析器です。シングルチャンネル波高分析器は、特定のエネルギーを持つ放射線だけを選び出して計測することができる電子回路です。放射線はエネルギーの大きさによって、検出器に与える電気信号の大きさが異なります。シングルチャンネル波高分析器は、この電気信号の大きさを判別することで、特定のエネルギー範囲にある放射線だけを選び出して計測します。具体的には、あらかじめ設定した上限値と下限値でエネルギーの範囲を定め、その範囲内のエネルギーを持つ放射線から発生した電気信号だけを通過させます。通過した信号は計数されて、目的とするエネルギー帯の放射線の量が分かります。このように、シングルチャンネル波高分析器は、複雑な放射線の中から特定のエネルギー範囲だけを分析する、放射線計測において欠かせない技術です。