光を当てて物質を調べる:光量子放射化分析
私たちが普段目にする物質は、すべて原子という小さな粒からできています。そして、その原子の中心には、さらに小さな原子核が存在します。原子核は陽子と中性子という粒子で構成されていますが、実は光を当てることで、その状態を変化させることができるのです。原子核に高エネルギーの光、すなわちガンマ線を照射すると、「光核反応」と呼ばれる現象が起こります。これは、ガンマ線の波長が原子核の大きさに近いために、光エネルギーが原子核に吸収されやすくなるために起こります。
光核反応では、原子核はガンマ線を吸収して励起状態へと遷移し、その後、再び安定な状態に戻ろうとして粒子やガンマ線を放出します。この過程で、原子核は元の状態とは異なる状態へと変化する可能性があります。
興味深いことに、特定のエネルギーのガンマ線を照射した際に、光核反応が特に起こりやすくなる現象が見られます。これは「巨大共鳴」と呼ばれる現象で、原子核の種類によって、共鳴が起こるエネルギーが異なります。巨大共鳴は、原子核の集団運動と深く関連しており、原子核の構造や性質を調べるための重要な手がかりとなっています。