共鳴吸収

核燃料

原子炉の自己遮蔽効果

原子炉の中では、中性子と呼ばれる粒子が原子核に吸収される反応が繰り返され、莫大なエネルギーを生み出しています。特に、ウラン235のような核分裂を起こしやすい物質では、中性子の吸収が核分裂の連鎖反応を引き起こし、原子炉の運転を支えています。 中性子の吸収は、中性子のエネルギー、つまり速度によってその起こり方が大きく変わる点が重要です。原子核の種類によっては、特定のエネルギーの中性子を非常に強く吸収する現象が見られます。これは、ちょうど楽器の弦のように、原子核も特定のエネルギー状態を持っているためです。そして、入ってくる中性子のエネルギーが原子核のエネルギー状態とぴったり一致した時に、共鳴と呼ばれる現象が起こり、中性子は非常に高い確率で吸収されます。この現象を共鳴吸収と呼びます。 共鳴吸収は、原子炉の制御において重要な役割を担っています。たとえば、制御棒には中性子を強く吸収する物質が含まれており、共鳴吸収を利用して原子炉内の核分裂反応の速度を調整しています。共鳴吸収の度合いを調整することで、原子炉内の連鎖反応を安定的に維持し、安全な運転を可能にしているのです。