化学分析

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放射化学分析:物質の秘密を探る

- 放射化学分析とは私たちの身の回りに存在する物質は、全て非常に小さな粒子である原子から構成されています。そして、原子の中には、放射線と呼ばれるエネルギーを放出する特殊な原子、すなわち放射性核種が存在することがあります。この放射性核種は、自然界に存在するものもあれば、人工的に作り出されるものもあります。放射化学分析とは、物質中に含まれるこれらの放射性核種に注目した分析方法です。具体的には、放射性核種が放出する放射線の量を精密な測定機器を用いて測定します。それぞれの放射性核種は、種類によって異なるエネルギーの放射線を放出するという特徴を持っています。この特徴を利用することで、測定された放射線のエネルギーから、物質中にどんな種類の放射性核種が含まれているのかを特定することができます。さらに、放射線の量は、その物質中に含まれる放射性核種の量に比例するため、測定された放射線の量から、それぞれの放射性核種がどのくらいの量含まれているのかを調べることが可能となります。放射化学分析は、環境中の放射性物質の測定や、食品の安全性の評価など、様々な分野で利用されています。微量の放射性物質を検出できる高い感度を持つことが特徴であり、私たちの生活を守る上で重要な役割を担っています。
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ガスクロマトグラフィ:物質を分離・分析する技術

- ガスクロマトグラフィとは 私たちの身の回りにある物質は、多くの場合、様々な成分が混ざり合った状態です。例えば、私たちが呼吸する空気は窒素や酸素、二酸化炭素などが混合しており、芳醇な香りのコーヒーも水、カフェイン、香り成分などが複雑に混ざり合って出来ています。このような混合物を分析し、それぞれの成分がどれくらいの量含まれているかを調べることは、物質の性質や安全性を理解する上で非常に重要です。 ガスクロマトグラフィは、このような混合物を分析するための強力なツールとして、様々な分野で広く利用されています。この技術は、物質を構成する成分の違いを利用して、それぞれの成分を分離し、分析します。具体的には、分析したい混合物を気化させて装置に注入し、カラムと呼ばれる細い管の中を通過させます。カラムの中には、成分によって吸着しやすいものと吸着しにくいものが充填されており、この吸着性の違いを利用して成分を分離します。 分離された成分は、検出器によって検出され、それぞれの成分の量や種類が分かります。ガスクロマトグラフィは、その高い分離能力と感度から、環境分析、食品分析、医薬品開発など、幅広い分野で利用されています。例えば、大気や水質の汚染物質の測定、食品中の残留農薬の検査、新薬の開発など、私たちの生活に欠かせない技術となっています。
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食品の抗酸化力を測るAAPH法

- AAPH法とはAAPH法は、食品や生体試料などが持つ抗酸化力を測る方法の一つです。 私たちの体の中では、通常の活動によって活性酸素と呼ばれる物質が生み出されています。活性酸素は細胞を傷つけ、老化や様々な病気の原因となることがあります。 しかし、体には活性酸素の働きを抑える抗酸化力も備わっており、バランスが保たれています。AAPH法では、2,2'-アゾビス(2-アミノジプロパン)二塩酸塩(AAPH)という物質を用いて、人工的に活性酸素を発生させます。 AAPHを水に溶かして温めると分解し、ラジカルという不安定な分子が発生します。このラジカルは活性酸素の一種で、細胞にダメージを与える力を持っています。AAPH法では、試料となる食品や生体試料に、このラジカルを加えて反応を観察します。試料中に抗酸化物質が多く含まれていると、ラジカルが消去され、細胞へのダメージが抑えられます。 反対に、抗酸化物質が少ないと、ラジカルは消去されずに細胞にダメージを与え続けます。AAPH法では、ラジカルがどの程度消去されたかを測定することで、試料の抗酸化力を評価します。 この方法は、食品の機能性評価や、病気の予防や治療に関する研究などに広く活用されています。
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蛍光光度計: 物質の光る性質で分析

物質に光を当てると、その光は物質に吸収されたり、反射したり、あるいはそのまま通り抜けたりします。光を吸収した物質は、そのエネルギーによって様々な振る舞いを見せます。熱を帯びたり、化学変化を起こしたりする物質もあれば、再び光を放出して元の状態に戻る物質もあります。このように、物質が光を吸収し、再び光を放出する現象をまとめて発光現象と呼びます。 発光現象は、放出されるまでの時間の長さによって、蛍光と燐光に区別されます。 蛍光は、物質が光を吸収してから、再び光を放出するまでが非常に短い発光現象です。具体的には、ナノ秒からマイクロ秒という、1秒の100万分の1から100万分の1秒というごく短い時間で発光します。蛍光灯や蓄光シールなどに利用されています。 一方、燐光は、蛍光に比べて発光するまでの時間が長い発光現象です。具体的には、ミリ秒から数時間、あるいはそれ以上という長い時間、発光し続けます。夜光塗料や時計の文字盤などに利用されています。 このように、物質の発光現象は、私達の身の回りで様々に利用されています。