即発臨界

原子力の安全

原子炉の安全:反応度投入事象とその重要性

原子力発電所では、核分裂反応を安全かつ安定的に制御することが最も重要です。この安全性を揺るがす可能性のある事象の一つに、「反応度投入事象」があります。 原子炉内では、ウランなどの核燃料が中性子を吸収することで核分裂を起こし、熱とさらに多くの中性子を発生させます。この現象は連鎖反応と呼ばれ、この反応の度合いを示す指標が「反応度」です。反応度がプラスになると連鎖反応は加速し、マイナスになると減速します。 反応度投入事象とは、この反応度が短時間に大きくプラスに変化してしまう現象を指します。例えば、制御棒の不意な引抜きや冷却材の流量増加などが挙げられます。 反応度投入事象が発生すると、原子炉内の出力は急激に上昇します。これは、短時間で大量の熱が発生することを意味し、最悪の場合、燃料の溶融や破損といった深刻な事故につながる可能性も孕んでいます。 このような事態を防ぐため、原子炉には反応度を抑制する安全装置や、異常発生時に自動的に原子炉を停止させるシステムが備わっています。さらに、運転員は反応度制御に関する専門的な訓練を積んでおり、常に原子炉の状態を監視することで、安全運転に万全を期しています。
原子力の安全

原子力発電の安全性:反応度事故について

- 反応度事故とは原子力発電所では、ウランなどの核燃料が核分裂反応を起こすことで発生する熱エネルギーを利用して、タービンを回し発電を行っています。この核分裂反応は、中性子と呼ばれる粒子がウランの原子核に衝突し、核分裂を起こすことで連鎖的に発生します。反応度とは、この中性子による核分裂の連鎖反応の起きやすさを表す指標です。反応度が高い状態とは、核分裂の連鎖反応が活発に起こる状態であり、低い状態とは、連鎖反応が穏やかに起こる状態です。原子炉は、この反応度を調整することで、安定した出力で運転されています。反応度事故とは、原子炉の運転中に、何らかの要因によって反応度が急激に増加し、核分裂の連鎖反応が過剰に起こってしまうことで、制御不能となる事故です。反応度事故が発生すると、原子炉内の圧力や温度が急上昇し、最悪の場合、炉心の溶融や格納容器の破損など、深刻な事態を引き起こす可能性があります。そのため、原子力発電所では、反応度を適切に制御するための様々な安全装置や運転手順が設けられています。具体的には、制御棒と呼ばれる中性子を吸収する物質を原子炉内に挿入したり、冷却材の流量を調整したりすることで、反応度を制御しています。また、反応度事故発生の可能性を低減するため、運転員の訓練や設備の定期的な点検なども重要な対策として実施されています。
原子力発電の基礎知識

原子力発電の要:臨界とは?

原子力発電所の中心部には、原子炉と呼ばれる巨大な装置が存在します。この原子炉の中で、ウランやプルトニウムといった核燃料物質が莫大なエネルギーを生み出しています。原子力発電の原理となるのが、核分裂と呼ばれる現象です。 ウランやプルトニウムのような非常に重い原子核に、電気的にプラスでもマイナスでもない中性子と呼ばれる粒子がぶつかると、原子核は不安定になり、二つ以上の軽い原子核に分裂します。これが核分裂です。このとき、分裂した原子核は、莫大なエネルギーと同時に、新たな中性子を放出します。 驚くべきことに、この新たに放出された中性子は、再び別のウランやプルトニウムの原子核に衝突し、さらなる核分裂を引き起こします。このようにして、次々と核分裂が連続して起こる現象を、核分裂連鎖反応と呼びます。核分裂連鎖反応が制御された状態で安定的に継続することによって、原子炉の中では膨大な熱エネルギーが作り出され、発電に利用されているのです。