
緊急事態の守護神:SPEEDIシステム
- SPEEDIシステムとは原子力発電所をはじめとする原子力施設において、放射性物質が大量に放出されるような事故が発生した場合、またはその可能性が高まった場合、周辺住民の安全を守るためには、迅速かつ的確な対応が求められます。そのために開発されたのがSPEEDIシステム(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)です。SPEEDIシステムは、事故発生時の気象条件(風向きや風速、大気安定度など)と、原子炉から放出される放射性物質の種類や量などの情報をもとに、コンピュータシミュレーションによって放射性物質の大気中濃度や地表への沈着量などを予測します。この予測結果は、地図上に分かりやすく表示され、関係機関に迅速に提供されます。提供された情報は、避難計画の策定や屋内退避などの防護措置の判断、農作物や水道水への影響評価などに活用され、住民の被ばく線量の抑制と安全確保に大きく貢献します。SPEEDIシステムは、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故を教訓に開発され、その後も改良が重ねられています。原子力施設の安全確保に不可欠なシステムと言えるでしょう。