
原子炉の安全運転のカギ!過剰反応度とは?
原子炉は、ウランなどの核燃料が核分裂を起こすことで熱エネルギーを生み出す施設です。核分裂とは、ウランの原子核に中性子が衝突すると、ウラン原子核が分裂し、さらに複数の中性子を放出する現象です。このとき、莫大なエネルギーが熱として放出されます。
原子炉では、この核分裂反応を連鎖的に起こさせることで、熱エネルギーを継続的に取り出しています。
この核分裂の連鎖反応を制御するのが過剰反応度という概念です。過剰反応度は、原子炉内の中性子の増減を表す指標です。原子炉がどれくらい活発に反応を起こせるかを表しているとも言えます。
過剰反応度が大きすぎる場合、核分裂反応が過剰に起こり、原子炉内の温度が急上昇する可能性があります。逆に、過剰反応度が小さすぎる場合は、核分裂反応が持続せず、原子炉が停止してしまいます。
原子炉の設計者は、運転期間中を通して安定した運転を維持するために、必要な過剰反応度を計算し、適切な量の燃料を炉に装荷します。さらに、運転中は制御棒と呼ばれる中性子を吸収する材料を炉心に挿入したり、引き抜いたりすることで過剰反応度を調整し、原子炉内の中性子の数を制御しています。