
原子力発電の鍵:中性子吸収断面積とは?
原子力発電は、目には見えない極めて小さな粒子によって生み出される巨大なエネルギーを利用する発電方法です。この目に見えない小さな粒子こそが「中性子」です。原子の中心には原子核が存在し、その原子核は陽子と中性子というさらに小さな粒子によって構成されています。
中性子は電気を帯びていない、つまり電気的に中性であるため、他の原子核から反発されずに容易に近づいていくことができます。そして、ウランのような核分裂を起こしやすい物質の原子核に中性子が衝突すると、核分裂と呼ばれる反応が起こります。核分裂とは、ひとつの重い原子核が二つ以上の軽い原子核に分裂する現象です。
この核分裂の際に、莫大なエネルギーが熱と光として放出されます。原子力発電では、この熱エネルギーを利用して水を沸騰させ、発生した蒸気でタービンを回し発電機を動かすことで電気を作り出しています。
このように、原子力発電において、中性子は核分裂反応を引き起こすための重要な役割を担っているのです。原子力発電は、目に見えない小さな粒子の働きによって支えられています。