IAEA憲章:原子力の平和利用のための国際協力
第二次世界大戦の終結は、世界に大きな爪痕を残すと同時に、新たな時代の幕開けを告げました。大戦中に開発された原子力は、莫大なエネルギーを生み出す可能性を秘めている一方で、想像を絶する破壊力を持つことも明らかになりました。この新たな力の存在は、国際社会に、その平和利用と軍事利用の両面への関心を否応なく高めさせたのです。
人々は、原子力がもたらす計り知れない恩恵に期待を寄せると同時に、その制御不能な破壊力を前に、恐怖と不安を抱きました。国際社会は、この強力なエネルギーを平和的に利用し、人類の発展に役立てるためには、国際的な協力体制が不可欠であることを認識しました。原子力の平和利用を促進し、同時に、その軍事利用を抑制する国際的な枠組みの構築が急務となったのです。
こうした背景のもと、1953年12月、当時のアメリカ合衆国大統領アイゼンハワーが国連総会において「原子力のための平和利用に関する国際機関」の設立を提唱しました。これは、原子力の平和利用を促進するための国際協力体制を構築し、世界の平和と安全に貢献することを目的とした画期的な提案でした。この提案は国際社会から広く支持され、具体的な協議が進められました。そして、1956年10月26日、国際原子力機関(IAEA)憲章が採択され、IAEAが正式に設立されるに至りました。