宇宙放射線

放射線について

JISCARD:航空機利用時の宇宙線被ばく量を知る

私たちが毎日暮らす大地からは、自然放射線と呼ばれるごく微量の放射線が常に出ています。これは自然現象であり、私たち人間を含めた生物は、この微量の放射線とともに進化を遂げてきました。 しかし、飛行機に乗って空高く上昇すると、地上とは異なる種類の放射線、宇宙放射線を浴びることになります。宇宙放射線は、太陽や銀河系外の遥か彼方からやってくる高エネルギーの粒子で、地上に届くまでに大気の層によって遮られます。しかし、飛行機が飛行する高度1万メートル付近では、地上に比べて大気の層が薄くなっているため、宇宙放射線を遮る効果が弱まります。そのため、飛行機に乗っている間は、地上よりも多くの宇宙放射線を浴びることになります。 とはいえ、航空機による旅行で浴びる宇宙放射線の量はごくわずかであり、健康に影響を与える心配はありません。一回の旅行で浴びる放射線量は、胸部レントゲン撮影の数分の1程度といわれています。ただし、頻繁に飛行機を利用する人や、妊婦の方などは、浴びる放射線量が多くなる可能性があるため、少し注意が必要です。具体的には、航空会社に問い合わせて、飛行ルートや高度、飛行時間などを考慮した上で、より放射線量の少ない便を選ぶなどの対策が考えられます。
放射線について

宇宙放射線を読み解く:プラスチック線量計

地球の周りには、目に見えないけれど有害な放射線が飛び交っています。これは宇宙線と呼ばれ、太陽や遥か彼方の星からやってきます。人間が宇宙へ行くためには、この宇宙線を正しく測って、宇宙飛行士を守る方法を見つけなければなりません。宇宙は地球と違い、電気や物が自由に手に入りません。そのため、宇宙で使う放射線測定器には、少ない電力で長く使える工夫が求められます。 これまで宇宙で使われてきた測定器の一つに、熱蛍光線量計というものがあります。これは、コンパクトで扱いやすいという利点がありました。しかし、熱蛍光線量計は、宇宙線の種類を細かく区別することができませんでした。宇宙線には様々な種類があり、それぞれ人体への影響が異なります。宇宙飛行士の健康を守るためには、どの種類の宇宙線がどれくらい飛んでいるのかを正確に知る必要があります。そのため、現在では、より詳しく宇宙線を計測できる測定器の開発が進められています。 宇宙線の測定は、宇宙飛行士の安全を守るだけでなく、宇宙空間で生命が誕生する可能性や、地球上の生命への影響など、様々な謎を解き明かす鍵となります。将来的には、宇宙線に対するより深い理解に基づいた、安全な宇宙開発や宇宙旅行が実現すると期待されています。