原子力発電所の安全な終わり方:デコミッショニングとは
私たちの生活に欠かせない電気を供給してくれる原子力発電所ですが、その運転期間は決して無限ではありません。長い年月をかけて運転を続ける中で、設備の老朽化は避けられません。老朽化が進むと、安全に運転を続けることが難しくなるため、原子力発電所は一定期間の運転後、その役目を終えることになります。
原子力発電所がその役割を終えた後には、「デコミッショニング」と呼ばれる作業が行われます。これは、原子力発電所を安全かつ計画的に解体し、最終的には周辺環境への影響をなくすための重要なプロセスです。
デコミッショニングは、大きく分けて4つの段階に分けられます。まず、原子炉の運転を停止し、核燃料を原子炉から取り出します。次に、原子炉や配管など、放射能を帯びた機器や設備を解体・撤去します。そして、解体した設備や建物の周辺環境への放射線の影響を確認し、安全が確認された区域から順次、管理区域を解除していきます。最後に、すべての施設が解体され、周辺環境への影響がなくなったことを確認し、敷地の利用を再開できる状態になります。
デコミッショニングは、安全確保を最優先に、周辺環境や地域住民への影響を最小限に抑えながら、慎重に進められる必要があります。そのため、完了までには数十年という長い期間を要します。