
セシウム137:原子力と環境の影響
セシウムという物質は、私たちの身の回りにもともと存在する元素の一つです。しかし、原子力発電所などで人工的に作り出されるセシウム137は、自然界に存在するものとは異なる性質を持っています。 セシウム137は放射線を出す性質、つまり放射能を持っており、時間の経過とともに放射線を出しながら別の物質に変化していきます。この現象を放射性崩壊と呼びます。 セシウム137の場合、およそ30年で半分が別の物質に変化します。これを半減期といい、セシウム137の半減期は約30年ということになります。放射性物質は、この半減期の長さによって、環境中での残存期間が変わってきます。セシウム137は比較的半減期が長いため、環境中に放出されると、長い期間にわたって影響を与える可能性があります。 原発事故などで環境中に放出されたセシウム137は、土壌や水に存在し、農作物や魚介類に取り込まれることがあります。 私たちがそれらを摂取すると、体内に取り込まれたセシウム137から放射線を受けることになります。そのため、食品中のセシウム濃度が基準値を超えないよう、国や自治体によって厳しい検査が行われています。