放射線測定器

放射線について

チェッキング線源とは

放射線測定器は、医療現場での診断や治療、工業分野での非破壊検査、研究機関での実験など、様々な場面で活用されています。これらの測定器から得られるデータの信頼性を確保するために、定期的な校正が非常に重要となります。校正とは、測定器が表示する値と、実際に受けている放射線の量との間にずれがないかを確かめ、正確な測定値が得られるよう調整する作業です。 この校正作業には、基準となる放射線を出す線源と呼ばれるものを使用します。線源には、大きく分けて二つの種類があります。一つは標準線源です。標準線源は、放射線の量やエネルギーが非常に正確に決められており、測定器の校正を国家基準にトレーサブルに行うために用いられます。もう一つはチェッキング線源です。チェッキング線源は、標準線源ほど厳密なものではありませんが、日常的な点検や簡易的な校正に用いられます。 このように、放射線測定器の校正は、測定の信頼性を維持するために欠かせない作業であり、目的に応じた適切な線源を用いることが重要です。標準線源によるトレーサブルな校正は、測定結果の信頼性をより一層高め、安全な放射線利用を支える上で重要な役割を担っています。
放射線について

放射線を身近に:ガイガーカウンタの仕組み

- ガイガーカウンタとはガイガーカウンタは、私たち人間の目には見えない放射線を検出するために使われる装置です。1928年にハンス・ガイガーとヴァルター・ミュラーという二人の科学者によって開発されたことから、ガイガー・ミュラー計数管とも呼ばれています。では、ガイガーカウンタはどのようにして放射線を検出するのでしょうか? その仕組みは、放射線が気体に電気を帯びさせる性質を利用しています。ガイガーカウンタの内部には、薄い金属やガラスでできた筒に、アルゴンなどの気体が封入されています。筒の中には、電圧がかけられた細い金属線が張られています。放射線が筒の中に入ると、気体の原子と衝突して電子を弾き飛ばします。電子は電圧によって加速され、さらに多くの電子を弾き飛ばす連鎖反応が起こります。この時、瞬間的に電流が流れ、その電流を検出することで放射線を検出したことが分かります。ガイガーカウンタは、私たちの身の回りにある物質から自然に放出される微量の放射線(自然放射線)や、医療現場で使われるX線、工業分野で使われる非破壊検査の放射線など、様々な放射線を測定することができます。 放射線の量が多い場所では、ガイガーカウンタのカチカチという音の間隔が短くなり、音が大きくなります。 これは、より多くの放射線が検出されていることを示しています。ガイガーカウンタは、コンパクトで持ち運びやすく、操作も簡単なため、放射線に関わる様々な現場で使用されています。
原子力施設

原子力発電の安全を守る: 汚染検査室の役割

- 汚染検査室とは原子力発電所は、目に見えないエネルギーである放射線を扱うため、安全確保には細心の注意が払われています。発電所内には、放射線の影響を受ける可能性のある場所として「放射線管理区域」と呼ばれる場所が設けられています。この区域は、放射線による被ばくから働く人や周辺環境を守るために、厳重に管理されています。「汚染検査室」は、この放射線管理区域から出ていく際に、必ず通過しなければならない重要な施設です。区域内では、作業員は特別な防護服を着用して作業を行いますが、衣服や持ち物に微量の放射性物質が付着している可能性があります。汚染検査室では、専用の検出器を用いて、作業員の体や衣服、靴、持ち込まれた工具などに放射性物質が付着していないかを厳密に検査します。もし、放射性物質が付着していた場合は、除去することが重要です。汚染検査室には、付着した放射性物質を安全に取り除くための除染設備も備えられています。このように、汚染検査室は、放射線管理区域から放射性物質が外部へ持ち出されることを防ぎ、従業員の安全と周辺環境の保全に不可欠な役割を担っています。原子力発電所における安全管理の要の一つと言えるでしょう。