原子核の世界とポテンシャル障壁
私たちの身の回りに存在するあらゆる物は、目には見えない小さな粒である原子からできています。そして、その原子の中心には、さらに小さな原子核が存在します。原子核は、陽子と中性子と呼ばれる粒子で構成されており、物質がどのような性質を持つのかを決める、言わば設計図のような役割を担っています。
原子核はあまりにも小さく、私たちが普段使っている光学顕微鏡を使っても、その姿を見ることはできません。しかし、目に見えないからといって、そこには何の法則も存在しないわけではありません。原子核の世界にも、当然ながら法則は存在します。そして、それは私たちが普段、目に見える世界で体験している法則とは大きく異なる、量子力学という不思議な法則に従っています。
例えば、原子核を構成する陽子と中性子は、決まった位置にじっとしているのではなく、雲のように広がった状態で存在しています。また、一つの粒子が同時に複数の状態を持つことも可能です。このような、私たちの常識を超えた不思議な振る舞いが、原子核の世界では日常的に起こっているのです。このようなミクロの世界の法則を理解することが、原子力エネルギーの平和利用や、医療分野における新たな技術開発に繋がると期待されています。