
欧州における原子力とECの関係
第二次世界大戦後、ヨーロッパでは経済復興と平和構築のために国々が手を結び、様々な分野で統合が進められました。その流れはエネルギー分野にも及び、1967年、欧州石炭共同体(ECSC)、欧州経済共同体(EEC)、欧州原子力共同体(EAEC)の3つの共同体が統合され、欧州共同体(EC)が誕生しました。
特に、欧州原子力共同体の設立は、当時開発途上にあった原子力エネルギーの平和利用と技術開発を国際協力によって推進することを目的としていました。原子力エネルギーは、戦後の復興と経済成長の鍵となる膨大なエネルギー源として期待されており、その潜在能力に多くの国々が注目していました。しかし、原子力エネルギーは、その開発や利用に伴う安全性の確保や放射性廃棄物の処理など、解決すべき課題も多く、一国だけで取り組むにはあまりにも大きな挑戦でした。そのため、ヨーロッパの国々は、原子力エネルギーの平和利用と技術開発を共同で進めるために、欧州原子力共同体を設立し、国際協力の枠組みを構築したのです。これは、ヨーロッパ諸国が共通の目標に向かって協力し、未来を切り開こうとする意志の表れでした。