
原子力発電の安全を守る:中性子遮へいとは
原子力発電は、ウランなどの原子核分裂を利用して莫大な熱エネルギーを生み出し、その熱でお湯を沸騰させて蒸気タービンを回し、電気を作り出す発電方法です。この原子核分裂の際に、熱エネルギーとともに中性子と呼ばれる粒子が大量に放出されます。
中性子は電気的に中性であるため、物質を構成する原子核と衝突しやすく、その性質を変化させる性質、いわゆる放射能を帯びさせる性質を持っています。
人体などの生物にとっては、細胞内の遺伝子情報を持つDNAを損傷するなど、非常に有害な影響を与える可能性があります。
そのため、原子力発電所では、この有害な中性子を適切に遮蔽し、発電所で働く作業員や周辺環境への影響を可能な限り小さくすることが必要不可欠です。
原子炉の周りをコンクリートや水などで覆うことによって、中性子を吸収させたり、運動エネルギーを減衰させたりすることで、外部への漏洩を防いでいます。
このように、中性子遮蔽は原子力発電の安全性を確保するための最も重要な要素の一つと言えるでしょう。