
見えない世界を覗く:スペクトロメータ
- スペクトロメータとはスペクトロメータは、物質に光や粒子などを照射した際に生じる、透過や反射、放射といった相互作用を利用して、物質の組成や性質を分析する装置です。
私たちの目に見える光は、実は様々な色の光が混ざり合ったものです。太陽光をプリズムに通すと、虹色に光が分かれて見える現象を目にしたことがあるでしょう。これは、光が持つ固有の波長によって屈折率が異なるために起こります。スペクトロメータはこの原理を応用し、光を波長ごとに分けることで、物質に含まれる成分やその量を調べることができます。
スペクトロメータは、光だけでなく、電子やイオン、中性子など、様々なエネルギーを持つ粒子や波を分析することができます。分析対象に応じて、分光器、質量分析器、エネルギー分析器など、様々な種類のスペクトロメータが存在します。
原子力分野においても、スペクトロメータは重要な役割を担っています。例えば、原子炉内の中性子のエネルギー分布を測定することで、炉心の状態を監視したり、放射性物質から放出されるガンマ線のエネルギーを測定することで、核種の同定や放射能の測定を行うことができます。このように、スペクトロメータは、原子力の安全利用や研究に欠かせない分析装置と言えるでしょう。