原子力発電の安全確保:ナトリウム洗浄の重要性
- ナトリウム洗浄とは原子力発電の中でも高速炉と呼ばれるタイプの炉は、熱を効率的に伝えるために冷却材として金属ナトリウムを使用しています。ナトリウムは熱を非常に伝えやすく、高速炉の効率的な運転には欠かせない役割を担っています。しかし、運転を終えた燃料を取り出す際には、このナトリウムが課題となります。ナトリウムは水と激しく反応する性質を持つため、使用済燃料を水プールに貯蔵する前に、燃料表面に付着したナトリウムを完全に取り除く必要があるのです。この、燃料表面からナトリウムを取り除く作業が「ナトリウム洗浄」と呼ばれる工程です。
ナトリウム洗浄は、主にアルゴンガスと窒素ガスを用いて行われます。まず、アルゴンガスを吹き付けることで、燃料表面のナトリウムを物理的に除去します。その後、窒素ガスと水蒸気を反応させて水素を発生させ、この水素によって残ったナトリウムを水素化ナトリウムに変換します。水素化ナトリウムは水に溶けやすい性質を持つため、水で洗い流すことで燃料から完全に除去することができます。このように、ナトリウム洗浄は高速炉の安全性と効率性を両立させるために欠かせない工程と言えるでしょう。