燃料温度

核燃料

原子炉の燃料ペレットとノックアウト

原子力発電は、ウランという物質が持つエネルギーを利用して電気を起こす発電方法です。ウランは核分裂と呼ばれる反応を起こすと、莫大な熱エネルギーを放出します。この熱を利用して水を沸騰させ、蒸気を発生させることでタービンを回し、発電機を動かして電気を作ります。 原子力発電所で使われる燃料は、ウランを加工して作られます。まず、ウラン鉱石から取り出したウランを精製し、濃縮したものを二酸化ウランという粉末にします。次に、この粉末を高温で焼き固めて、直径約1センチメートル、高さ約1.5センチメートルの円柱形をしたペレットを作ります。このペレットは、見た目は黒い碁石のようです。 ペレットは、多数まとめられて金属製の燃料棒に封入され、さらに多数の燃料棒が束ねられて燃料集合体として原子炉の中に装荷されます。原子炉の中では、ウランの核分裂反応が連鎖的に起こり、膨大な熱エネルギーが生まれます。原子力発電は、この熱エネルギーを利用して電気を作る、非常に効率の高い発電方法です。
原子力の安全

原子炉の安全: ドップラー効果と燃料温度

- 燃料温度反応度係数とは原子力発電所における安全確保には、様々な要素が絡み合ってきます。その中でも、燃料温度反応度係数は特に重要な要素の一つと言えるでしょう。これは、原子炉の心臓部と言える燃料体の温度変化が、原子炉全体の反応度にどのような影響を与えるかを表す指標です。しばしばドップラー係数とも呼ばれます。では、原子炉の反応度とは一体何でしょうか?簡単に言えば、原子炉内で起こる核分裂の連鎖反応が、どれだけ持続しやすいかを示す度合いのことです。この反応度が高いほど、連鎖反応は活発になり、低い場合はその逆となります。燃料温度反応度係数は、この反応度と燃料体の温度の関係性を示すものです。燃料温度反応度係数が負の値を持つ場合、燃料体の温度上昇に伴い反応度は低下し、逆に燃料体の温度低下により反応度は上昇します。これは、原子炉自身の出力調整能力に深く関わっており、安全性を担保する上で非常に重要な特性と言えるでしょう。