脱硝

核燃料

原子力発電におけるマイクロ波の革新的な利用法

マイクロ波は、電磁波の一種で、波長が1メートルから1センチメートル程度のものを指します。周波数にすると、300MHzから30GHzに相当し、電波と光波の間に位置します。 私たちにとって最も身近なマイクロ波の利用例は、電子レンジでしょう。電子レンジは、マイクロ波が持つ物質の分子を振動させる性質を利用し、食品中の水分子を振動させて摩擦熱を発生させることで食品を加熱しています。 このマイクロ波は、その特性から、通信やレーダーなど、以前から様々な分野で活用されてきました。例えば、携帯電話や無線LAN、GPSなど、私たちの生活に欠かせない技術にもマイクロ波は使われています。 そして近年、このマイクロ波が原子力発電の分野でも注目されています。原子力発電所では、使用済み核燃料の処理が課題となっていますが、マイクロ波はこの処理にも有効である可能性が示唆されています。具体的には、マイクロ波の加熱効果を利用して、使用済み核燃料からウランやプルトニウムなどの有用な物質を分離したり、放射性物質の量を減らす研究が進められています。 このように、マイクロ波は、私たちの生活を支える様々な技術に利用されているだけでなく、未来のエネルギー問題解決にも貢献する可能性を秘めた技術と言えるでしょう。
その他

電子ビームが切り拓く、排煙処理の新時代

火力発電所や工場などから排出される煙の中には、硫黄酸化物や窒素酸化物といった有害物質が含まれています。これらの物質は大気を汚染し、酸性雨や呼吸器疾患の原因となるため、環境問題解決のために適切な処理が欠かせません。従来から、排煙中の有害物質を取り除くために、様々な処理技術が開発されてきました。例えば、水と反応させて硫黄酸化物を除去する湿式排煙脱硫装置や、触媒を用いて窒素酸化物を分解する排ガス脱硝装置などがあります。 しかしながら、これらの従来技術には、処理に費用やエネルギーがかかる、新たな廃棄物が発生するといった課題も残されています。 近年、これらの課題を解決する新たな技術として、電子ビームを用いた画期的な排煙処理法が注目を集めています。電子ビームは、電気エネルギーによって加速された電子の流れであり、排煙に照射すると、有害物質を分解することができます。電子ビームによる排煙処理法は、従来の方法と比べて処理効率が高く、有害物質の分解率を高めることができます。また、処理後の生成物は肥料として利用できるため、副産物の発生を抑制できる点も大きな利点です。電子ビームによる排煙処理技術は、環境負荷低減への貢献が大きく期待されており、今後の普及が期待されています。
核燃料

原子力と環境:脱硝技術の役割

- 脱硝とは?大気汚染物質の一つである窒素酸化物(NOx)は、呼吸器に悪影響を及ぼしたり、酸性雨の原因となるなど、環境問題を引き起こす物質として知られています。この窒素酸化物を、燃焼ガスや排ガスから取り除く技術のことを「脱硝」と言います。火力発電所や工場など、燃料を燃焼させる施設では、高温環境下で空気中の窒素と酸素が反応し、どうしても窒素酸化物が発生してしまいます。そこで、大気汚染防止の観点から、窒素酸化物の排出量を削減するために脱硝装置が導入されています。脱硝の方法はいくつかありますが、代表的なものとして「選択触媒還元法」が挙げられます。これは、触媒を用いて窒素酸化物を無害な窒素と水に分解する方法です。具体的には、アンモニアなどの還元剤を排ガスに添加し、触媒層を通過させることで化学反応を起こし、窒素酸化物を浄化します。脱硝技術は、環境負荷を低減するための重要な技術として、今後も開発・改良が進められていくと考えられます。