腫瘍

その他

未分化癌:診断が難しい癌の種類について

- 未分化癌とは未分化癌は、癌細胞が元の細胞の特徴をほとんど、あるいは全く示さない特殊な癌です。通常、癌は発生源となった臓器の細胞の特徴をある程度残しているため、顕微鏡で観察することで、胃癌、肺癌など、ある程度起源を特定することができます。しかし、未分化癌の場合、顕微鏡で観察しても、細胞は本来持つべき組織構造や形態を持たず、バラバラに増殖しているように見えます。この未分化性のために、細胞の起源を特定することが非常に困難です。つまり、どこの臓器から発生した癌なのかが分かりにくいため、診断や治療方針の決定が難しく、課題が多い癌と言えます。さらに、未分化癌は一般的に増殖が早く、転移しやすい傾向があります。これは、細胞が未分化であるために、正常な細胞のように周囲の組織と連携して増殖を抑制することができず、制御不能な状態になっているためと考えられています。未分化癌の診断には、病理組織検査や画像検査などが用いられますが、確定診断には、細胞の起源を特定するための免疫染色検査などが追加で行われることもあります。治療法としては、手術、放射線療法、化学療法などがありますが、最適な治療法は、患者の状態や癌の進行度などによって異なります。
その他

細胞の反乱:腫瘍とは何か

私たちの体は、細胞の分裂と増殖によって成長し、体の機能を維持しています。細胞はそれぞれ寿命があり、寿命が来ると死にます。それと同時に、新たな細胞が生まれて古い細胞と入れ替わることで、私たちの体は常に一定の状態に保たれているのです。 通常、細胞の増殖と死滅は非常に精巧な仕組みによって制御されています。体の成長に必要なだけ細胞が増え、その後は増殖が止まるように調節されているのです。これにより、組織や臓器は適切な大きさや形を保つことができます。 しかし、この緻密な制御機構が、何らかの原因で破綻してしまうことがあります。例えば、遺伝子の損傷や、ウイルス感染などがその原因として挙げられます。すると、細胞は本来の制御を受けずに際限なく増殖し始めます。これが腫瘍です。腫瘍は、周囲の組織を圧迫したり、破壊したりしながら増大していきます。さらに、腫瘍細胞の一部は、血液やリンパ液の流れに乗って体の他の部分に移動し、新たな腫瘍を作ることがあります。これを転移と呼びます。
放射線について

一回照射:がん治療における集中的な放射線治療

一回照射とは、がん治療において用いられる放射線治療の一種で、従来の方法とは異なるアプローチで治療を行います。従来の放射線治療では、治療期間を長期間に設定し、少量の放射線を複数回に分けて患部に照射します。これは、がん細胞へのダメージを効果的に与えつつ、周囲の正常な細胞への影響を最小限に抑えることを目的としています。 しかし、一回照射では、その名の通り、一度に大量の放射線を照射します。一回で治療を完了するため、治療期間が大幅に短縮されるというメリットがあります。従来の方法では、数週間から数ヶ月にわたる治療が必要でしたが、一回照射では、一日で治療が完了する場合もあります。 この治療法は、患者の負担軽減に大きく貢献します。治療のために何度も通院する必要がなくなり、身体的、時間的、経済的な負担を軽減することができます。また、一回の照射で治療が完了するため、治療効果が早く現れることも期待できます。
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扁平上皮癌:体の表面を覆う組織から発生する癌

- 扁平上皮癌とは 私たちの体の表面や、口の中、胃や腸などの内臓の表面は、「上皮」と呼ばれる薄い組織で覆われています。この上皮は、体を守るという大切な役割を担っています。 上皮にはいくつかの種類があり、その中でも「扁平上皮」と呼ばれる、平たく薄い細胞が何層にも重なった構造を持つ上皮から発生する癌が、扁平上皮癌です。 この扁平上皮は、体の様々な場所に存在しています。例えば、私たちが毎日触れている皮膚も扁平上皮でできています。また、食べ物が通る口の中や食道、そして肛門なども扁平上皮で覆われています。さらに、男性の膀胱、女性の膣や子宮頸部などにも扁平上皮は存在し、体の様々な部分を保護しています。 このように、体の広範囲に存在する扁平上皮から発生する癌であるため、扁平上皮癌は体の様々な部位で発生する可能性があります。発生する部位によって、症状や進行の仕方が異なってきます。
放射線について

姑息照射:症状緩和を目指す放射線治療

- 姑息照射とは姑息照射とは、がん治療の一環として行われる放射線治療の中で、がんそのものを完全に治すことを目的とするのではなく、がんが原因で現れる様々な苦痛を和らげることを目的とした治療法です。痛みや出血、腫れ、呼吸困難などの症状を改善し、患者さんの生活の質(QOL)を向上させることを目指します。 姑息照射は、根治が難しい進行がんの患者さんに対して行われることが多いです。例えば、がんが体の広範囲に広がっている場合や、患者さんの体力的な理由で手術や抗がん剤治療が難しい場合などが挙げられます。 従来の放射線治療と比較して、姑息照射では一回当たりの照射線量は少なく、照射回数も少ない傾向にあります。これは、身体への負担を軽減し、治療による副作用を抑えるためです。 姑息照射は、がん患者さんの生活の質を維持・向上させる上で重要な役割を担っています。体に負担の少ない治療法であるため、体力の衰えた患者さんや高齢の患者さんでも安心して治療を受けることができます。
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固形腫瘍:がん治療の新たな標的

- 固形腫瘍とは固形腫瘍とは、体の中の様々な器官や組織にできる、塊りのような形をした悪性腫瘍のことです。 わかりやすく例えるなら、木に実る果実のように、正常な組織にくっついて大きくなっていくイメージです。この固形腫瘍は、がんの中でも非常に多く見られるタイプで、実に様々な種類が存在します。 例えば、私たちが日頃からよく耳にする、肺がん、胃がん、大腸くんなどは、全てこの固形腫瘍に分類されます。固形腫瘍は、発生する場所や種類によって、その症状や進行の仕方が大きく異なります。初期の段階では、自覚症状がほとんどない場合もありますが、腫瘍が大きくなるにつれて、様々な症状が現れてきます。例えば、腫瘍が周囲の組織を圧迫することで、痛みや不快感を感じたり、臓器の機能を低下させてしまうこともあります。固形腫瘍の治療法は、腫瘍の種類や進行度、患者の状態などによって異なりますが、一般的には、手術、放射線療法、抗がん剤治療などを組み合わせて行われます。 早期発見、早期治療が重要とされており、定期的な健康 checkup や、体の異変に気をつけることが大切です。
放射線について

DNAと原子力発電

私たち生物の遺伝情報 blueprint、DNAについて解説しましょう。DNAはデオキシリボ核酸を省略した呼び方で、あらゆる生物に存在し、その生物の設計図の役割を担っています。 人間に例えると、黒髪や金髪、青い目や茶色い目といった外見の特徴や、背が高い、体が弱いといった体質に関わる情報まで、膨大な情報がDNAに記録されています。 では、どのようにして情報を記録しているのでしょうか? DNAはアデニン、グアニン、シトシン、チミンという4種類の塩基と呼ばれる物質が、まるで暗号のように一列に並んだ構造をしています。この4種類の塩基の配列順序が、遺伝情報を決定づけているのです。 さらに、DNAは2本の鎖がらせん状に絡み合った二重らせん構造をとっています。2本の鎖の間では、アデニンとチミン、グアニンとシトシンがそれぞれ対になって結びついています。この結びつきのおかげで、細胞分裂の際にDNAは正確に複製され、新しい細胞に遺伝情報が受け継がれていくのです。
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私たちの体と腺癌

私たちの体の中は、たくさんの細胞が集まってできています。これらの細胞は、それぞれ決まった場所にあり、臓器や組織の一部として、体を維持するために働いています。例えば、皮膚や胃、腸などの表面はそれぞれ異なる種類の細胞で覆われており、それぞれが重要な役割を担っています。 腺癌は、このうち『腺細胞』と呼ばれる細胞から発生する癌です。腺細胞は、唾液や消化液、汗など、体の様々な部分で分泌物を出す役割をしています。この腺細胞が、何らかの原因で癌化してしまうと、周りの組織を破壊しながら増殖し、やがて腫瘍を形成します。これが腺癌と呼ばれるものです。 腺癌は、顕微鏡で観察すると、癌細胞がまるで正常な腺組織のような構造を作り出していることが特徴です。腺癌は、肺や乳腺、大腸、前立腺など、体の様々な場所に発生する可能性があります。発生する場所によって、症状や進行の速さ、治療法などが異なります。 がんは早期発見、早期治療が重要です。体の異々に気付いたら、早めに医療機関を受診しましょう。
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脳腫瘍:頭蓋内における静かなる脅威

- 脳腫瘍とは人間の頭蓋骨の中には、脳脊髄液という液体で満たされた空間があり、その中に脳が浮かぶように収まっています。脳腫瘍とは、この限られた空間の中で発生するあらゆる腫瘍の総称を指します。よく耳にする「がん」という言葉は、一般的には悪性腫瘍を指します。しかし、脳腫瘍の場合、悪性腫瘍だけでなく、良性の腫瘍も含まれます。さらに、腫瘍以外にも、炎症や血管の異常など、様々な原因で脳に異常が起こることがあります。これらをまとめて脳腫瘍と呼ぶため、脳腫瘍と診断されても、必ずしも命に関わるような深刻な状況とは限りません。脳腫瘍は、その種類や発生する場所、大きさによって、症状や経過、治療方針が大きく異なります。そのため、まずは専門医による詳しい検査と診断が必要となります。そして、その結果に基づいて、適切な治療法や経過観察の方法が決定されます。場合によっては、手術や放射線治療、抗がん剤治療など、様々な治療法を組み合わせることもあります。
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あまり知られていない癌、肉腫とは

- 肉腫の定義私たちの身体は、様々な組織で構成されています。筋肉や骨のように身体を動かしたり支えたりするもの、脂肪のようにエネルギーを蓄えたり体温を保ったりするもの、神経のように情報を伝達するものなど、それぞれが重要な役割を担っています。これらの組織を繋ぎ合わせ、保護しているのが結合組織です。肉腫は、この結合組織に発生する悪性腫瘍です。つまり、筋肉、骨、脂肪、神経などを支えたり、保護したりする組織から発生するがんのことを指します。発生する部位は全身に及び、骨盤内や手足の奥深くなど、体の奥深い場所にできることもあります。肉腫は、がんの中でも比較的まれな病気です。しかし、子どもから大人まで、あらゆる年齢層で発症する可能性があります。そのため、早期発見・早期治療が非常に重要となります。
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悪性黒色腫:知っておきたい皮膚がん

- 悪性黒色腫とは 悪性黒色腫は、皮膚に存在するメラノサイトと呼ばれる細胞ががん化したものです。メラノサイトは、私たちの肌や髪、目に色を与えるメラニン色素を作り出す重要な役割を担っています。 このメラノサイトが何らかの原因でがん化すると、皮膚に色のついたしこりや斑点として現れることがあります。これが悪性黒色腫です。 悪性黒色腫は、一般的に「ほくろのがん」と誤解されがちです。確かに、既存のほくろが悪性化するケースも稀にありますが、多くは正常な皮膚に新たに発生します。 悪性黒色腫は、他の皮膚がんと比べて進行が早く、命に関わる場合もあります。しかし、早期に発見し適切な治療を行えば、治癒の可能性も高まります。そのためにも、皮膚に普段とは異なる変化を感じたら、自己判断せずに医療機関を受診することが大切です。