
BNFL:英国の原子力事業を支えた企業の変遷
- BNFLの誕生と役割1984年、英国ではサッチャー政権下で国有企業の民営化が積極的に進められていました。その一環として、それまで国の機関であった英国核燃料公社も民営化の対象となり、新たに「ブリティッシュ・ニュークリア・フューエルズ株式会社」、略称BNFLが設立されることになりました。これは、電力供給など公益性の高い事業であっても、民間企業の力で効率的に運営できるという考えに基づいた政策でした。BNFLは、民営化後も英国における核燃料サイクルにおいて重要な役割を担い続けました。具体的には、原子力発電所の燃料となるウランの濃縮や加工、使用済み核燃料の再処理、そして最終的な処分といった、原子力発電に伴う一連の工程を一手に引き受けていました。特に、再処理事業は国際的にも高く評価され、日本を含む世界各国から使用済み核燃料を受け入れていました。このように、BNFLは英国の原子力政策を支える中核的な企業として、長年にわたり大きな存在感を示していました。しかし、その一方で、高レベル放射性廃棄物の処理問題や、再処理施設における事故なども発生し、常に安全性の確保が課題としてつきまとっていました。