複合発電

原子力発電の基礎知識

発電効率を高める複合システム

発電所では、電気を作るために様々な工程を経てエネルギーを変換しています。石炭火力発電所や原子力発電所の場合、まず燃料を燃焼させて熱エネルギーを作り出し、その熱で水を沸騰させて高温高圧の蒸気を発生させます。そして、この蒸気の力で蒸気タービンという羽根車を回転させ、その回転エネルギーを利用して発電機を動かしてようやく電気エネルギーが生まれます。 この、燃料のエネルギーを最終的に電気エネルギーに変換する際の効率のことを発電効率と呼びます。発電効率が高ければ高いほど、燃料を有効活用して多くの電気を作り出すことができます。しかしながら、現在の技術をもってしても、発電効率は高くても40%程度にとどまっています。これは、熱力学の法則による制約があり、どうしても熱エネルギーの一部を環境中に放出せざるを得ないためです。 例えば、蒸気を利用してタービンを回した後、その蒸気は温度が下がり、再び水に戻す必要があります。この冷却の過程で、どうしても熱が周囲に逃げてしまいます。このような熱の損失が積み重なり、発電効率は理論的な限界値に近づいており、大幅な改善は難しいと考えられています。
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未来のエネルギー: 石炭ガス化燃料電池複合発電

世界には石炭が豊富に存在しています。石炭は、私たち人類にとって欠かせないエネルギー源として、長い間活躍してきました。しかし、石炭を燃やすと、地球温暖化の原因となる二酸化炭素が大量に排出されてしまうという問題があります。近年、地球環境への意識が高まる中で、石炭の利用は、その是非が問われています。そこで期待されているのが、石炭をよりクリーンなエネルギーとして活用する「石炭ガス化燃料電池複合発電」、略して「IGFC」と呼ばれる技術です。 IGFCは、石炭を燃やす代わりに、まず石炭をガス化し、水素と一酸化炭素を作り出します。そして、この水素と一酸化炭素を燃料電池で電気エネルギーに変換するのです。さらに、発電の過程で発生する熱も利用することで、従来の石炭火力発電に比べて、より効率的にエネルギーを生み出すことができます。 IGFCは、石炭を有効活用しながら、二酸化炭素の排出量削減にも貢献できる、まさに未来のエネルギー技術と言えるでしょう。世界中で研究開発が進められており、近い将来、私たちの暮らしを支える重要な役割を担うことが期待されています。
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進化するゴミ発電!スーパーゴミ発電とは?

都市部を中心に、毎日大量に出されるゴミ。このゴミを燃やすと、そのエネルギーを使って電気を作ることができます。これをゴミ発電と呼びますが、従来のゴミ発電には、発電効率の低さという大きな課題がありました。 ゴミを燃やすと、ダイオキシンなどの有害物質だけでなく、塩化水素ガスといった腐食性の強いガスも発生します。このガスは、発電に欠かせないボイラーやタービンといった設備を腐食させるため、従来のゴミ発電では、蒸気の温度を250度から300度程度に抑えて運転せざるを得ませんでした。蒸気の温度が低いと、発電効率も低くなってしまい、ゴミが持つエネルギーを十分に活かせないというジレンマを抱えていました。 ゴミ発電は、ゴミ問題とエネルギー問題の両方を解決する可能性を秘めた技術です。ゴミのエネルギーをより有効に活用できるよう、発電効率の向上は、長年にわたる重要な課題となっています。