原子力発電と過酸化ラジカル
- 過酸化ラジカルとは過酸化ラジカルとは、化学式でROO•と表される物質のことを指します。これは、分子を構成する原子の周りを回る電子が、通常は対になって安定しているにも関わらず、対を作らずに単独で存在している状態、いわゆる「遊離基」の一種です。この対になっていない電子は、他の物質と非常に反応しやすい性質を持っています。そのため、過酸化ラジカルは周囲の物質から電子を奪い取って自身を安定化しようとします。 その結果、新たな物質が生成されたり、元の物質の構造が変化したりと、様々な化学反応を引き起こす可能性があります。原子力発電所では、原子炉内で水を減速材や冷却材として使用しています。 この水に放射線が照射されると、水分子が分解されてしまうことがあります。 この水分解の過程で、過酸化ラジカルを含む様々な種類のラジカルが発生します。 これらのラジカルは反応性が高いため、原子炉内の材料を劣化させる可能性があり、注意が必要です。