環境に優しい雪氷熱利用
雪氷熱利用とは、冬場に降り積もる雪や、専用の装置で人為的に作り出した氷を、夏まで保存し、その冷熱を有効活用する技術です。冬の間に降り積もる雪や、夜間に冷やすことで生成した氷を、断熱性の高い特別な施設に貯蔵し、気温が上昇する夏場に冷房や冷却のエネルギー源として活用します。
雪氷熱利用の最大の特徴は、電力をほとんど必要としない点です。従来の冷蔵庫やエアコンのように電力を消費して冷気を作り出す方法と比べて、環境への負荷が格段に低く、地球温暖化対策としても有効な手段として期待されています。
雪氷熱利用は、主に冷房や施設の冷却、農産物の貯蔵など、幅広い分野で活用されています。例えば、建物の冷房システムに雪氷熱利用を導入することで、夏の暑い時期でも快適な室温を維持しながら、エネルギー消費量と二酸化炭素排出量を大幅に削減できます。また、農産物の貯蔵施設においても、雪氷熱利用によって低温環境を維持することで、鮮度を保ち、長期保存を可能にします。