非常用炉心冷却系

原子力の安全

原子炉の安全を守る: 高圧注入系

原子力発電所の中心には、莫大なエネルギーを生み出す原子炉が存在します。原子炉内部では、核分裂反応と呼ばれる現象によって、ウランやプルトニウムといった重い原子核が分裂し、膨大な熱を発生し続けます。この熱は、発電のための蒸気を作り出すために利用されますが、同時に原子炉の安全を確保するためにも、適切に制御する必要があります。 原子炉内で発生した熱を効率的に取り除くために、冷却材と呼ばれる物質が重要な役割を担います。冷却材は、原子炉内を循環しながら燃料から熱を吸収し、その熱を蒸気発生器へと運びます。蒸気発生器では、冷却材の熱が水に伝わり、蒸気を発生させます。発生した蒸気はタービンを回し、電気を生み出す発電機を動かします。原子力発電所では、冷却材の循環によって、原子炉内の温度を常に一定に保ち、安全に運転を続けることが可能となっています。 原子炉の冷却システムは、発電所の安全確保のために、複数系統が備えられています。万が一、一つの系統に異常が発生した場合でも、他の系統が機能することで、原子炉の冷却を維持できるよう設計されています。さらに、緊急時冷却システムと呼ばれる、事故発生時などに備えた特別な冷却システムも設置されており、原子炉の安全性をより高めるための対策が講じられています。
原子力の安全

炉心溶融:最悪のシナリオ

原子力発電所の心臓部ともいえる原子炉の中心には、「炉心」があります。炉心は、ウラン燃料を核分裂させて熱を生み出す、発電の要となる部分です。この核分裂反応は、非常に高い熱を発生するため、炉心を常に冷やし続ける必要があります。 炉心を冷却するために、原子力発電所では冷却材を用いています。冷却材は、炉心の周囲を循環しながら、核分裂反応で生じた熱を吸収し、蒸気発生器へと運びます。蒸気発生器では、冷却材の熱を利用して水が沸騰し、蒸気が発生します。この蒸気を使ってタービンを回し、発電機を動かして電気を作っているのです。 もし、何らかの原因で冷却材が失われてしまうと、炉心の熱は奪われずに温度が上昇し続けます。これは、火を消さずに加熱し続けるようなもので、放置すれば炉心の温度は異常なほど高くなり、最終的には炉心を構成する金属燃料が溶け始めてしまいます。このような事態を避けるため、原子力発電所には緊急炉心冷却装置など、様々な安全対策が講じられています。