Atoms for Peace

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平和利用への道:アトムズ・フォー・ピース

1953年、世界は冷戦の真っただ中にありました。アメリカ合衆国とソビエト連邦という二つの超大国が、政治体制や経済システムの優位性を巡って対立し、世界は緊張状態にありました。両国は軍備を拡大し、より強力な兵器を開発することで、優位に立とうとしていました。中でも、核兵器開発競争は、人類にとって未曾有の脅威となっていました。1945年にアメリカが広島と長崎に原子爆弾を投下したのを皮切りに、両陣営は核兵器の開発と実験を繰り返し、その保有数は年々増加していました。核戦争が勃発すれば、地球全体が壊滅的な被害を受けることは明らかで、世界中の人々が不安と恐怖を抱えていました。 こうした状況下、アメリカ合衆国第34代大統領のドワイト・D・アイゼンハワーは、1953年12月8日、国際連合総会において、歴史的な演説を行いました。それは「アトムズ・フォー・ピース」と題された演説でした。この演説でアイゼンハワー大統領は、核兵器開発競争の行き過ぎを強く懸念し、核エネルギーの平和利用を訴えました。彼は、核エネルギーは兵器としてではなく、人類の発展に役立つように使われるべきだと主張しました。具体的には、発電や医療などへの利用を提案し、世界各国に協力を呼びかけました。