IPPC指令

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産業汚染を総合的に管理するIPPC指令

- IPPC指令とはIPPC指令は、正式名称を統合的汚染防止管理指令(Integrated Pollution Prevention and Control)といい、ヨーロッパ連合(EU)が環境保護のために定めた重要な指令です。1996年9月に採択され、EU域内で産業活動に伴い発生する環境汚染を総合的に管理し、最小限に抑えることを目的としています。従来の環境対策は、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染など、個別の環境問題への対応に重点が置かれていました。しかし、IPPC指令では、大気、水、土壌など、複数の環境媒体への影響を包括的に捉え、汚染物質の排出を抑制することを目指しています。IPPC指令の大きな特徴は、汚染が発生してから処理するのではなく、汚染物質の発生源を管理して、そもそも汚染が発生しないようにする「予防的なアプローチ」を重視している点にあります。具体的には、工場などの施設に対して、以下の事項を求めています。* 最良の利用可能な技術(BAT)の導入* エネルギーの効率的な利用* 廃棄物の発生抑制とリサイクル* 事故時の環境影響の最小化IPPC指令は、EU加盟国に対して、この指令に基づいた国内法の整備と運用を求めています。日本でも、この指令の考え方を参考に、環境法令の整備や事業者への自主的な取り組みの促進が進められています。