JENDL

その他

日本の原子力研究を支えるJENDL:シグマ委員会の軌跡

原子力開発は、私たちの社会に様々な恩恵をもたらす可能性を秘めています。特に原子力発電は、地球温暖化の解決策の一つとして期待されています。しかし、原子力の利用には、安全性の確保が何よりも重要となります。原子炉の設計、運転、そして廃棄物の処理など、あらゆる段階において、原子核の反応に関する正確なデータに基づいた、慎重かつ精密な取り組みが求められます。 この原子核反応に関するデータは、「核データ」と呼ばれ、原子力開発にとって欠かせないものです。核データは、原子炉内における中性子の動きや、ウランなどの核燃料が核分裂を起こす確率、放射線の発生量などを知るために利用されます。これらの情報は、原子炉の安全設計や運転効率の向上、そして放射線による人体や環境への影響を評価するために必要不可欠です。 核データは、実験や複雑な理論計算を通して得られます。しかし、その種類は膨大であり、そのままでは利用が困難です。そこで、世界中の研究機関が協力し、得られた核データを収集、評価、そして整理して、「評価済み核データライブラリ」として公開しています。このライブラリは、原子力開発に携わる技術者にとって、まさに「辞書」のような存在と言えるでしょう。
その他

原子力工学を支える縁の下の力持ち JENDL

原子力発電所をはじめ、原子力施設の設計や運転、安全評価を行う上で、原子核の反応に関する膨大なデータ、すなわち「核データ」が欠かせません。原子炉の炉心では、核燃料であるウランやプルトニウムに中性子が衝突することで、様々な反応が起きています。主要な反応として、核分裂と核変換が挙げられます。 核分裂は、ウランやプルトニウムの原子核に中性子が衝突することで、原子核が分裂し、エネルギーと新たな中性子を放出する反応です。この反応は、原子力発電において熱エネルギーを生み出すための根幹となる反応です。一方、核変換は、ウランやプルトニウムの原子核に中性子が衝突することで、原子核が別の種類の原子核に変化する反応です。 これらの反応は、中性子のエネルギーや衝突する原子核の種類によって、その起こりやすさや反応の種類が異なります。さらに、それぞれの反応によって放出されるエネルギーや粒子の種類も異なります。核データは、このような原子核の反応に関する情報を網羅的に集約したものであり、原子炉の設計や運転、安全評価を行う上で欠かせない情報源となっています。 例えば、原子炉の設計においては、核データに基づいて、炉心の大きさや形状、使用する核燃料の種類や量が決定されます。また、原子炉の運転においては、核データに基づいて、中性子の量やエネルギー分布を制御し、安定した運転を維持しています。さらに、原子炉の安全評価においては、核データに基づいて、事故時の原子炉の挙動を予測し、安全性を確認しています。このように、核データは原子力工学の基礎となる重要な情報であり、原子力開発を進める上で欠かせないものです。