地球サミット:UNCEDがもたらしたもの

地球サミット:UNCEDがもたらしたもの

電力を見直したい

先生、原子力発電について調べていたら『国連環境開発会議』っていう言葉が出てきたんですけど、これって何ですか?

電力の研究家

いい質問だね!『国連環境開発会議』は、地球全体の環境問題について話し合うために、1992年にブラジルのリオデジャネイロで行われた大きな会議のことだよ。地球サミットって呼ばれることもあるよ。

電力を見直したい

リオデジャネイロで…大きな会議なんですか?

電力の研究家

そうだよ。世界中からたくさんの人が集まって、地球温暖化や生き物の保護などについて話し合ったんだ。その結果、地球環境を守るための大切な約束がいくつか決まったんだよ。

国連環境開発会議とは。

「国連環境開発会議」は、地球温暖化や地球規模の環境破壊といった問題に対して、世界各国が協力して取り組むための一つの大きな節目となった会議です。この会議は、1992年6月3日から14日にかけて、ブラジルのリオデジャネイロで行われ、「地球サミット」とも呼ばれています。この会議では、「リオ宣言」や「アジェンダ21」といった、地球環境を守るための取り組み指針が採択されました。

地球温暖化については、1988年に国連環境計画が設立した「気候変動に関する政府間パネル」や、その他の世界的な取り組みが、この地球サミットで「気候変動枠組み条約」の署名が始まったことにつながり、その後、条約を結んだ国々が集まる会議(COP)が継続的に開かれるようになりました。

また、生き物を守るための国際的な約束として、特定の行為や場所だけを対象としていた「ワシントン条約」や「ラムサール条約」などを包括する条約として、「生物の多様性に関する条約」が、1990年11月以来7回にわたって開かれた政府間条約交渉会議での話し合いを経て、この国連環境開発会議で署名のために公開されました。日本は、この会議が開かれている最中の同年6月13日に署名しました。

地球規模の環境問題への対応

地球規模の環境問題への対応

1992年、ブラジルのリオデジャネイロにおいて、地球規模の環境問題に対処するために世界各国が一堂に会する歴史的な会議、「地球サミット」が開催されました。これは、正式には「国連環境開発会議(UNCED)」と呼ばれ、地球温暖化や環境破壊など、地球全体に影響を及ぼす深刻な問題について話し合うための国際的な会議となりました。

この会議は、地球環境問題に対する人々の意識を高め、国際社会が協力して問題解決に取り組むための体制を強化する上で、極めて重要な役割を果たしました。地球サミットでは、地球温暖化対策のための国際的な枠組みを定めた「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」や、生物多様性の保全に関する「生物多様性条約」など、重要な国際条約が採択されました。また、持続可能な開発の概念が国際的に広く共有され、環境保護と経済発展を両立させることの重要性が再認識されました。

リオデジャネイロで開催された地球サミットは、地球環境問題に対する国際社会の意識を大きく転換させる契機となりました。これは、地球環境問題が、一国だけで解決できるものではなく、国際社会全体で協力して取り組むべき共通の課題であるという認識を世界に広める上で大きく貢献しました。その後も、地球サミットの精神は、持続可能な開発目標(SDGs)など、国際社会の共通目標へと受け継がれています。

リオ宣言とアジェンダ21の採択

リオ宣言とアジェンダ21の採択

1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミットは、地球環境と開発の問題に世界が共に立ち向かうための歴史的な転換点となりました。このサミットにおける大きな成果として、リオ宣言とアジェンダ21の採択が挙げられます。

リオ宣言は、地球環境と開発に関する27の原則を掲げた、いわば国際社会の行動指針です。この宣言は、環境保護と開発は切り離せないものであり、将来の世代のニーズを損なうことなく、現在の世代のニーズを満たす持続可能な開発を目指すべきであるという共通認識を示しました。

一方、アジェンダ21は、21世紀に向けて国際社会が具体的にどのような行動をとるべきかをまとめた行動計画です。貧困の解消、資源の枯渇や環境汚染の防止、地球温暖化への対策など、環境と開発に関する広範な課題を網羅し、国際機関、政府、企業、市民社会など、あらゆる主体に対して、それぞれの役割と責任を明確化しました。

リオ宣言とアジェンダ21は、地球サミット以降、国際社会が持続可能な開発目標(SDGs)を掲げて具体的な行動を進めていく上での礎となっています。

項目 内容
リオ宣言 地球環境と開発に関する27の原則(国際社会の行動指針)。
環境保護と開発は切り離せないものとし、持続可能な開発を目指す。
アジェンダ21 21世紀に向けて国際社会が具体的にどのような行動をとるべきかをまとめた行動計画。
環境と開発に関する広範な課題を網羅し、国際機関、政府、企業、市民社会など、それぞれの役割と責任を明確化。

気候変動への取り組みの進展

気候変動への取り組みの進展

1992年に開催された地球サミットは、地球規模で進行する気候変動問題に対する国際社会の意識を劇的に高め、具体的な行動計画の策定を促す転換点となりました。この会議の開催は、気候変動問題に関する科学的な知見を共有し、国際的な対策を推進するために1988年に設立された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の地道な活動によるところが大きいと言えるでしょう。IPCCの報告書は、人類の活動が地球温暖化を引き起こしている可能性が高いことを科学的に示し、世界各国に警鐘を鳴らしました。

地球サミットでは、IPCCの報告書で示された危機感を共有し、具体的な対策を講じるために、気候変動枠組条約が採択されました。この条約は、大気中の温室効果ガス濃度を安定化させることを究極的な目標とし、地球温暖化を防止するための国際的な協力体制の構築を目的としています。地球サミット以降、この条約に基づき、締約国会議(COP)が毎年開催されるようになり、地球温暖化対策に関する国際交渉の場として機能しています。COPでは、先進国と発展途上国の間で排出削減目標や資金援助などを巡る議論が続けられており、気候変動問題に対する国際社会の取り組みは着実に前進しています。

出来事 内容
IPCC設立 (1988年) 気候変動問題に関する科学的な知見共有、国際的な対策推進を目的
地球サミット (1992年) 地球規模の気候変動問題への意識を高め、具体的な行動計画策定を促す

  • IPCCの報告書を基に、気候変動枠組条約を採択
気候変動枠組条約採択 (1992年) 大気中の温室効果ガス濃度安定化を目標

  • 地球温暖化防止のための国際協力体制構築を目指す
締約国会議(COP)毎年開催 (1992年〜) 地球温暖化対策に関する国際交渉

  • 先進国と発展途上国の間で排出削減目標や資金援助などを議論

生物多様性条約の採択

生物多様性条約の採択

1992年にブラジルで開催された地球サミットでは、地球環境の保全について様々な取り組みが話し合われました。その中でも特に重要な成果の一つが、生物の多様性を保全するための国際的な枠組みである「生物の多様性に関する条約(CBD)」の採択です。

この条約は、1990年から始まった政府間での交渉会議を経て採択されました。生物の多様性を保全し、その恵みを将来にわたって享受していくためには、国際社会全体で協力していくことが不可欠であるという認識のもと、採択に至りました。

生物の多様性に関する条約は、大きく分けて三つの目的を掲げています。一つ目は、地球上の様々な生物種の減少や絶滅を防ぎ、生物の多様性を保全することです。二つ目は、食料や医薬品など、生物資源を持続的に利用できるようにすることです。そして三つ目は、遺伝資源の利用によって生じる利益を、国際的に公平に分配することです。

従来のワシントン条約やラムサール条約といった条約は、特定の種や地域を対象としたものでした。一方、生物の多様性に関する条約は、地球全体の生物多様性を保全するためのより包括的な枠組みを提供しています。これは、生物多様性の損失が地球規模の課題であるという認識に基づいています。

条約名 採択年 目的
生物の多様性に関する条約(CBD) 1992年
  • 生物の多様性の保全
  • 生物資源の持続可能な利用
  • 遺伝資源の利用から生じる利益の公平な分配

地球サミットの遺産と今後の課題

地球サミットの遺産と今後の課題

1992年にブラジルで開催された地球サミットは、地球全体の環境と開発について話し合う国際的な会議として、歴史的な転換点となりました。この会議は、地球規模で環境問題に取り組むことの重要性を世界に知らしめ、その後の国際的な取り組みの礎を築きました。地球サミットで採択されたリオ宣言は、環境保護と開発を両立させる「持続可能な開発」の概念を国際的に広く認めさせました。また、具体的な行動計画であるアジェンダ21、地球温暖化防止のための国際的な枠組みである気候変動枠組条約、生物多様性の保全を目的とした生物多様性条約など、数々の重要な成果を生み出しました。

これらの合意は、各国政府、国際機関、市民社会など、様々な主体が協力して持続可能な社会を目指すための共通の基盤となっています。地球サミット以降、環境問題に対する意識は世界的に高まり、再生可能エネルギーの利用促進や環境技術の開発など、様々な分野で進展が見られます。しかし、地球温暖化の影響は深刻さを増しており、森林破壊や生物多様性の損失も依然として続いています。

地球サミットの遺産を未来へ繋ぎ、より持続可能で公平な社会を築くためには、国際社会が一丸となって課題解決に取り組む必要があります。先進国は、資金や技術の提供など、発展途上国への支援を強化する必要があります。また、企業は、環境に配慮した事業活動を進め、持続可能な社会の実現に貢献していく必要があります。そして、私たち一人ひとりが、日常生活の中で省エネルギーやごみ削減などの行動を積み重ねていくことが重要です。

テーマ 内容
地球サミット(1992) – 地球環境と開発に関する国際会議
– 地球規模で環境問題に取り組む重要性を世界に発信
リオ宣言 – 環境保護と開発を両立させる「持続可能な開発」の概念を国際的に確立
主要な成果 – アジェンダ21(行動計画)
– 気候変動枠組条約(地球温暖化防止)
– 生物多様性条約(生物多様性の保全)
地球サミット後の進展 – 環境問題に対する意識向上
– 再生可能エネルギー利用促進
– 環境技術開発
地球サミット後の課題 – 地球温暖化の影響深刻化
– 森林破壊、生物多様性損失の継続
今後の取り組み – 国際社会の協力による課題解決
– 先進国による発展途上国への支援強化
– 企業による環境配慮型事業活動
– 個人の省エネルギー、ゴミ削減などの行動