ロンドン条約:海洋投棄規制の歴史

ロンドン条約:海洋投棄規制の歴史

電力を見直したい

先生、「ロンドン条約」って、どんな条約だったんですか?

電力の研究家

「ロンドン条約」は、簡単に言うと、海を汚すものを捨てるのを禁止したり、制限したりする条約だよ。1975年から始まったんだ。特に、放射性廃棄物を海に捨てることが問題になってね。

電力を見直したい

放射性廃棄物って、原子力発電所から出るものですよね? なぜ海に捨ててはいけないのですか?

電力の研究家

その通り! 放射性廃棄物は、長い間危険な物質なんだ。海に捨てると、魚や海藻が汚染されて、人間も危険になる可能性があるんだよ。だから、1993年には全面的に禁止になったんだよ。

ロンドン条約とは。

「ロンドン条約」は、原子力発電に関係する言葉の一つです。1972年11月、ロンドンで「海を汚さないようにするための国際会議」が開かれ、「ゴミなどを捨てることによって海を汚すことを防ぐための条約」が採択されました。この条約は「ロンドン条約」という呼び名で知られており、1975年8月に15の国が同意したことで、効力を持ち始めました。この条約の目的は、放射能を持つゴミやその他のゴミを、わざと海に捨てないようにすることです。この条約では、ゴミの種類によって、(1)捨てることを禁止されたゴミ、(2)捨てる前に国の機関の特別な許可が必要なゴミ、(3)捨てる前に一般的な許可だけが必要なゴミ、というように三つの区分がされています。1982年に開かれた6回目の会議で、スペインや北欧の国々などの希望により、海の調査結果が出るまで、海へのゴミ捨ては一時的に止めることが決定されました。そのため、1982年以降は、海へのゴミ捨ては行われていません。1993年の16回目の会議では、放射能を持つゴミを海に捨てることは、全面的に禁止されることになりました。ちなみに、日本は1980年にロンドン条約に同意しています。

海洋汚染防止への国際的な取り組み

海洋汚染防止への国際的な取り組み

1972年11月、イギリスのロンドンで「海洋汚染防止に関する国際会議」が開催されました。この会議は、深刻化する海洋汚染問題に対し、国際社会全体で協力して対策にあたる必要性が高まったことを受けたものでした。当時、廃棄物の海洋投棄による環境汚染は深刻化しており、このままでは海洋生態系への影響は避けられないと危惧されていました。
会議では、各国が共通の認識を持ち、効果的な対策を講じるために、海洋汚染を防止するための国際的なルール作りについて話し合われました。具体的には、船舶からの油や廃棄物の排出を規制するルールや、海洋投棄を段階的に禁止していくための枠組みなどが議論されました。
この会議は、その後の海洋汚染防止に関する国際条約の締結や、国際機関による取り組みの礎となり、国際的な環境保護活動において重要な一歩となりました。今日でも、海洋汚染は地球規模で取り組むべき課題として認識されており、世界各国が協力して海洋環境の保全に努めています

会議 背景 目的 内容 結果・影響
1972年11月
イギリス・ロンドン
「海洋汚染防止に関する国際会議」
海洋汚染の深刻化
(廃棄物の海洋投棄による環境汚染)
海洋汚染防止のための国際的なルール作り ・船舶からの油や廃棄物の排出規制

・海洋投棄の段階的禁止
・海洋汚染防止に関する国際条約締結の礎

・国際機関による取り組みの基礎

・国際的な環境保護活動の重要な一歩

ロンドン条約の採択と発効

ロンドン条約の採択と発効

1972年、ストックホルムで開催された国連人間環境会議を契機に、海洋環境の保護が国際社会全体の課題として認識されるようになりました。それから3年後の1975年、海洋汚染防止のための重要な条約が採択されました。それが、「廃棄物その他の投棄による海洋汚染の防止に関する条約」、一般に「ロンドン条約」と呼ばれるものです。
ロンドン条約は、その名の通り、廃棄物の海洋投棄を規制することで、海洋環境を汚染から守ることを目的としています。 具体的には、放射性廃棄物を含むあらゆる種類の廃棄物を対象とし、原則として海洋への投棄を禁止するという厳しいルールを定めています。
この条約は、採択から3ヶ月後の1975年8月に、批准国が15ヶ国に達し、国際的に発効しました。これは、海洋環境保護の重要性に対する国際的な認識の高まりを如実に示すものであり、その後の海洋環境保護の枠組みの礎を築く画期的な出来事となりました。

条約名 採択年 目的 主な内容
廃棄物その他の投棄による海洋汚染の防止に関する条約 (ロンドン条約) 1975年 廃棄物の海洋投棄を規制し、海洋環境を汚染から守る 放射性廃棄物を含むあらゆる種類の廃棄物を対象とし、原則として海洋への投棄を禁止

ロンドン条約の内容:廃棄物の区分

ロンドン条約の内容:廃棄物の区分

– ロンドン条約の内容廃棄物の区分ロンドン条約は、海洋環境の保護を目的とし、廃棄物の海洋投棄を規制する国際条約です。この条約では、廃棄物をその危険性に応じて大きく三つの区分に分類し、それぞれに対して異なる規制を設けています。まず、第一の区分に分類されるのは、海洋環境に深刻な影響を及ぼす可能性のある特に有害な廃棄物です。例えば、水銀やカドミウムなどの有害物質を含む廃棄物や、放射性廃棄物などがこの区分に該当します。これらの廃棄物は、海洋環境への影響が甚大であることから、ロンドン条約によってその投棄は全面的に禁止されています。次に、第二の区分に分類されるのは、第一の区分ほどではないものの、海洋環境に悪影響を与える可能性のある廃棄物です。この区分には、例えば、廃酸や廃アルカリ、砒素や鉛を含む廃棄物などがあります。これらの廃棄物は、海洋投棄を行う前に、各国の関係機関による特別な許可を得ることが義務付けられています。関係機関は、廃棄物の種類や量、投棄場所などを考慮し、海洋環境への影響を最小限に抑えることができる場合にのみ許可を出します。最後に、第三の区分に分類されるのは、比較的毒性が低く、海洋環境への影響が少ないと判断される廃棄物です。この区分には、例えば、建設発生土や浚渫土砂などがあります。これらの廃棄物を海洋に投棄する場合には、一般的な許可を得るだけでよいとされています。このように、ロンドン条約は廃棄物の危険性に応じた区分を設け、それぞれに異なる規制を適用することで、海洋環境の保護に努めています。

区分 内容 規制
第一区分 海洋環境に深刻な影響を及ぼす可能性のある特に有害な廃棄物 投棄全面禁止 水銀やカドミウムなどの有害物質を含む廃棄物、放射性廃棄物
第二区分 第一区分ほどではないものの、海洋環境に悪影響を与える可能性のある廃棄物 特別な許可が必要 廃酸、廃アルカリ、砒素や鉛を含む廃棄物
第三区分 比較的毒性が低く、海洋環境への影響が少ないと判断される廃棄物 一般的な許可が必要 建設発生土、浚渫土砂

海洋投棄の一時停止と放射性廃棄物の全面禁止

海洋投棄の一時停止と放射性廃棄物の全面禁止

1982年、スペインや北欧諸国などの提唱を受けて、ロンドン条約の締約国会議が開催されました。会議では、今後の海洋調査の結果が明らかになるまで、予防的な措置として放射性廃棄物を含むすべての廃棄物の海洋投棄を一時的に停止することが決定されました。これは、海洋環境保護に対する意識の高まりと、将来的な世代に影響を与える可能性のあるリスクを回避しようとする国際的な連携の表れでした。
その後、10年以上にわたる調査と議論を経て、1993年に開催された第16回締約国会議において、放射性廃棄物の海洋投棄の全面的な禁止が決定されました。この決定は、海洋環境と人間の健康に対する潜在的なリスクを考慮した上で、放射性廃棄物の取り扱いには、より安全で持続可能な方法を追求すべきであるという国際的な合意に基づくものでした。この全面禁止は、海洋環境保護における重要な転換点となり、廃棄物管理のあり方に対する根本的な見直しを迫るものでした。

イベント 内容
1982年 ロンドン条約締約国会議 今後の海洋調査の結果が明らかになるまで、予防的な措置として放射性廃棄物を含むすべての廃棄物の海洋投棄を一時的に停止することを決定
1993年 第16回ロンドン条約締約国会議 放射性廃棄物の海洋投棄の全面的な禁止を決定

日本の取り組みとロンドン条約の意義

日本の取り組みとロンドン条約の意義

日本は、1980年にロンドン条約を批准し、条約が掲げる海洋環境保護の理念に積極的に賛同してきました。ロンドン条約は、廃棄物の海洋投棄を規制することで海洋汚染を防止することを目的としており、日本はこの条約の理念を実現するために様々な取り組みを行ってきました。

具体的な取り組みとしては、国内法の整備が挙げられます。廃棄物処理法などの関連法規を改正し、ロンドン条約の規定に適合するように国内の法制度を整えました。特に、廃棄物の海洋投棄に関する規制は厳格化され、違反者には厳しい罰則が科せられるようになりました。

ロンドン条約は、1972年の採択から長い年月を経て、国際的な海洋環境保護の枠組みとして重要な役割を果たしてきました。特に、1994年の改正議定書において放射性廃棄物の海洋投棄の全面禁止が決定されたことは、国際社会全体で海洋環境の保全に取り組むべきであるという共通認識を生み出す上で、大きな転換点となりました。日本は、この条約の理念と成果を踏まえ、今後も国際社会と協力しながら、海洋環境の保全に積極的に貢献していくことを表明しています。

条約 目的 日本の取り組み 変更点(1994年)
ロンドン条約 廃棄物の海洋投棄を規制し、海洋汚染を防止する – 国内法の整備(廃棄物処理法など)
– 廃棄物の海洋投棄に関する規制の厳格化
放射性廃棄物の海洋投棄の全面禁止