海の個性:表層水塊とその特徴
電力を見直したい
『表層水塊』って、具体的にどんなものなんですか? 海の水は全部同じように思えるんですけど…
電力の研究家
いい質問だね! 実は、海水は場所によって、水温や塩分濃度が違うんだ。そのせいで、まるで違う種類の水のようにふるまうことがある。そこで、特徴が似ている海水をまとめて『表層水塊』と呼んでいるんだよ。
電力を見直したい
へえー、海水にも種類があるんですね! でも、場所によって水温や塩分濃度が違うのはなぜですか?
電力の研究家
それは、太陽の光が当たる量や、雨や川の量、風の影響などが場所によって違うからなんだ。例えば、太陽の光が沢山当たる赤道付近は水温が高くなるし、雨が少ない地域では海水の塩分濃度が高くなるんだよ。
表層水塊とは。
「表層水塊」は、太平洋、大西洋、インド洋などの広い海で、海の表面から深さ500メートルくらいまでの広い範囲に広がる海水の塊のことです。この海水は、場所によって温度や塩分などが違うので、それぞれの特徴を持った塊となっています。
表層水塊の一種に「モード水」というものがあります。これは、その海域で最も多くの体積を占める海水という意味です。このモード水は、主に冬に海水がよくかき混ぜられる場所でできます。具体的には、太平洋の北半分にある亜熱帯の海域でできる「北太平洋亜熱帯モード水」や、大西洋の北半分にある亜熱帯の海域でできる「北大西洋亜熱帯モード水」などがあります。
また、赤道付近では、太陽の光が強いため、海面から水が蒸発しやすく、塩分が濃くなります。この塩分の濃い海水は、「回帰線水」と呼ばれ、太平洋では「北太平洋回帰線水」のように、それぞれの海で特徴的な塊を作っています。(図を見てください)
広大な海の隠れた区分け
地球の表面の約七割を占める広大な海。どこを見ても同じように見える海水も、場所が変われば性質も変わります。
その違いを生み出す要因の一つに、表層水塊があります。表層水塊とは、海面から五百メートル程度の深さまでの表層部分を占める、水温や塩分などの性質が比較的均一な海水の塊のことです。
例えるなら、広大な海の中に個性豊かな部屋がいくつも存在しているかのようです。
これらの部屋、つまり表層水塊は、太陽の光を浴びる量や雨の量、さらに、海流などによってその性質が異なります。
例えば、赤道付近の海域では、太陽の光をたくさん浴びるため水温が高く、塩分濃度も高くなります。一方、極域に近い海域では、水温が低く、塩分濃度も低くなる傾向があります。
このように、表層水塊は、その場所特有の環境によって異なり、海の環境や生態系に大きな影響を与えています。
要因 | 赤道付近の海域 | 極域に近い海域 |
---|---|---|
太陽の光 | たくさん浴びる | 少ない |
水温 | 高い | 低い |
塩分濃度 | 高い | 低い |
水塊の代表選手:モード水
海の表面付近には、温度や塩分濃度が異なる様々な水塊が存在しています。その中でも、「モード水」は特定の海域で最も多く存在する水温と塩分濃度の組み合わせを持つ水塊として、特に注目されています。
モード水は、冬場に海水が深くまで混ざり合うことで形成されます。冷たい空気によって海水が冷やされ、比重が大きくなって沈み込むため、表層だけでなく、深い場所まで海水が混ざり合うのです。このプロセスは「冬季深層混合」と呼ばれます。
冬季深層混合によって形成されたモード水は、その海域の環境に大きな影響を与えます。例えば、モード水の温度や塩分濃度は、海洋生物の分布や生態系に影響を与えることが知られています。また、モード水は熱や物質を輸送する役割も担っており、気候変動との関連も指摘されています。
代表的なモード水としては、「北太平洋亜熱帯モード水」や「北大西洋亜熱帯モード水」などが挙げられます。これらのモード水は、それぞれの海域で特徴的な水温と塩分濃度を持っており、その海域の環境を特徴づける重要な要素となっています。
項目 | 説明 |
---|---|
モード水とは | 特定の海域で最も多く存在する水温と塩分濃度の組み合わせを持つ水塊 |
形成過程 | 冬場に海水が深くまで混ざり合う「冬季深層混合」によって形成される。
|
影響 |
|
代表例 |
|
太陽の恵みと蒸発が生む回帰線水
地球は太陽から熱エネルギーを受けていますが、その量はその場所の緯度によって異なります。赤道付近は太陽の光を多く浴びて気温が高いため、海の表面では水が盛んに蒸発します。
水が蒸発すると、海水に溶けていた塩分は取り残されます。そのため、蒸発が盛んな海域では海水の塩分濃度が高くなるのです。
この塩分濃度の高い海水は、地球規模の海流に乗って北や南へと移動していきます。この海流は、赤道付近の高温・高塩分の海水と、高緯度地域の低温・低塩分の海水を循環させる役割を担っており、「亜熱帯循環」と呼ばれています。
亜熱帯循環によって運ばれた海水は、北緯20度から30度付近に達すると、そこで特徴的な層を作ります。これが「回帰線水」と呼ばれる表層水塊です。回帰線水は、水温が高く、塩分濃度も高いという特徴を持っています。
回帰線水は、その名の通り、北回帰線や南回帰線付近で多く見られます。特に、北太平洋では北太平洋回帰線水が広く分布しており、海洋生態系や気候に大きな影響を与えています。
名称 | 緯度 | 水温 | 塩分濃度 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
赤道付近の海水 | 低緯度 | 高温 | 高塩分 | 太陽光を多く浴びて水が蒸発し、塩分濃度が高くなる |
高緯度地域の海水 | 高緯度 | 低温 | 低塩分 | – |
回帰線水 | 北緯20度から30度付近 | 高温 | 高塩分 | 亜熱帯循環によって運ばれた海水 |
海の中の個性派集団:表層水塊の役割
広大な海は、均一な水の塊のように思えるかもしれません。しかし実際には、水温や塩分濃度が異なる様々な水の層が、まるで個性的な部屋のように複雑に積み重なっています。
海面付近に存在し、海洋と大気との間で熱や物質を活発に交換しているのが「表層水塊」と呼ばれる層です。
表層水塊は、太陽光を浴びる量や、雨や川の流入、蒸発などによって、水温や塩分濃度が変化します。 このようにして形成された、性質の異なる表層水塊は、まるで海の中に個性豊かな部屋を作り出すかのようです。それぞれの部屋、つまり表層水塊は、そこに住む海洋生物の分布に大きな影響を与えています。 例えば、ある特定の水温を好む魚は、その水温に合った表層水塊が生息域となります。また、プランクトンのような微生物も、塩分濃度や栄養塩の量によって、特定の表層水塊に集まりやすいという特徴があります。
さらに、表層水塊は、熱や物質を遠くまで運ぶ役割も担っています。 暖かい表層水塊は高緯度海域へ熱を運び、冷たい表層水塊は低緯度海域へ冷気を運びます。このように、表層水塊は地球全体の気候システムにも深く関わっているのです。
このように、表層水塊は、海洋生物の分布や海洋環境、そして気候や気象にまで大きな影響を与えている、海の中の個性豊かな存在と言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
定義 | 海洋と大気との間で熱や物質を活発に交換している海面付近の層 |
特徴 | 太陽光、雨、川の流入、蒸発などによって水温や塩分濃度が変化する 性質の異なる水塊がまるで海の中に個性豊かな部屋を作り出すように存在する |
影響 |
|