ベータ壊変

放射線について

身近に潜む放射性物質:カリウム40

- カリウムの秘密 皆さんは「カリウム」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?多くの方は、バナナに豊富に含まれていて、健康維持に欠かせない栄養素である「ミネラル」の一種というイメージを持つのではないでしょうか。 実際、カリウムは人体にとって重要な役割を担っており、不足すると脱力感や食欲不振などの症状が現れることがあります。 しかし、この身近な存在であるカリウムには、あまり知られていない一面があります。それは、ごく微量ですが、放射線を出す性質を持っているということです。物質には、同じ元素でも、原子核を構成する中性子の数が異なるものが存在し、それらを「同位体」と呼びます。そして、放射線を出す同位体のことを「放射性同位体」と言います。自然界に存在するカリウムのうち、約0.01%は「カリウム40」と呼ばれる放射性同位体なのです。 カリウム40は、自然界に広く存在しているため、私たちの身の回りにある食べ物や飲み物、土壌など、あらゆる場所に含まれています。もちろん、その量はごく微量であり、健康に影響を与えるレベルではありません。むしろ、カリウムは人体にとって必須のミネラルであるため、 적극的に摂取することが推奨されています。 カリウムは、私たちにとって身近な存在であると同時に、奥深い性質も秘めていると言えるでしょう。
放射線について

様々な用途を持つコバルト60線源

- コバルト60とはコバルト60は、原子番号27番のコバルトという金属元素の一種です。原子番号は同じですが、原子核の中にある中性子の数が異なるため、コバルト60はコバルト59とは異なる性質を示します。自然界に存在するコバルトは、ほとんどが安定したコバルト59です。これは、放射線を出すことなく、ずっとそのままの状態を保ち続けることを意味します。一方、コバルト60は人工的に作り出された放射性同位体です。原子炉の中で、安定したコバルト59に中性子をぶつけることで、コバルト60を作り出すことができます。コバルト60は不安定な状態のため、時間とともに放射線を放出して安定なニッケル60へと変化していきます。コバルト60が放出する放射線は、ガンマ線と呼ばれる強いエネルギーを持った電磁波です。このガンマ線は、物質を透過する力が非常に強く、医療分野ではガン治療や医療機器の滅菌などに利用されています。また、工業分野では、製品の内部の検査や材料の改質などにも利用されています。コバルト60は、このように様々な分野で利用されていますが、放射線を持つ物質であるため、適切に取り扱わなければ健康に影響を与える可能性があります。そのため、コバルト60は、法律に基づいて厳重に管理されています。
放射線について

ストロンチウム90: 原子力と環境を考える

- ストロンチウム90とはストロンチウム90は、私たちの身の回りにも存在するストロンチウムという元素の一種です。ストロンチウム自体は、土壌や岩石、海水中に広く分布しており、私たちの体内にもごく微量ながら存在しています。しかし、ストロンチウム90は、通常のストロンチウムとは異なり、原子核が不安定な状態にあります。原子核が不安定な物質は、自ら放射線を出して安定になろうとする性質を持っており、このような物質を放射性同位体と呼びます。ストロンチウム90も放射性同位体の一つであり、ベータ線と呼ばれる放射線を出しながら別の元素であるイットリウム90へと変化していきます。 このような放射性物質の崩壊は、一定の時間で元の量の半分になるという性質があり、これを半減期と呼びます。ストロンチウム90の半減期は約29年で、これはストロンチウム90が100個あった場合、29年後には50個に、さらに29年後には25個になることを意味します。ストロンチウム90から変化したイットリウム90もまた放射性同位体であり、約64時間の半減期でベータ線を放出してジルコニウム90へと変化します。ジルコニウム90は安定した元素であるため、これ以上の放射性崩壊は起こりません。このように、ストロンチウム90はベータ崩壊を繰り返すことによって、最終的に安定なジルコニウム90へと変化していくのです。