吸入被ばく:空気中の放射性物質から体を守る
吸入被ばくとは、空気中に存在する放射性物質を呼吸によって体内に取り込んでしまうことを指します。放射性物質は目に見えないほど小さな粒子として空気中に漂っているため、知らず知らずのうちに吸い込んでしまうことがあります。
体内に取り込まれた放射性物質は、その場に留まり続けながら周囲の組織に放射線を出し続けます。このため、体内の細胞や組織が放射線の影響を受け、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
外部からの放射線を浴びる外部被ばくとは異なり、吸入被ばくは体内で被ばくが起こる内部被ばくの一種に分類されます。体内に入った放射性物質は、排泄されるまで放射線を出し続けるため、外部被ばくに比べて、長期にわたる影響が懸念されます。吸入被ばくは、原子力発電所事故などで放射性物質が環境中に放出された場合などに起こる可能性があります。また、日常生活でも、ラドン温泉など、自然由来の放射性物質を吸い込むことで、吸入被ばくが起こる可能性があります。