医療

放射線について

がん治療の最前線:小線源療法とは

- 小線源療法の概要小線源療法は、がん細胞を小さくするために放射線を使う治療法の中の一つですが、体外から照射する外部照射とは異なり、放射線を出す小さな線源をがん組織の近くに直接置くという特徴があります。 この線源は米粒ほどの大きさで、体内に挿入したり、体表に貼り付けたりする方法があります。小線源療法の最大の利点は、がん細胞だけに集中的に放射線を当てることができる点です。 線源をがん組織に極めて近い位置に置くことで、周囲にある正常な細胞への影響を最小限に抑えながら、効果的にがん細胞を攻撃することができます。従来の外部照射と比べると、小線源療法は治療期間が短く、入院期間も短縮できる場合があります。 また、治療による副作用も比較的軽く済むことが多いです。 小線源療法は、前立腺がん、子宮頸がんなど、様々な種類のがんの治療に用いられます。 がんの進行度や部位、患者さんの状態によって、最適な治療法は異なりますので、医師とよく相談することが大切です。
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未来を拓く治療法:末梢血幹細胞移植

私たちは普段、血液が体中に酸素を届けたり、細菌から体を守ったりと、重要な役割を担っていることを意識することは少ないかもしれません。しかし、血液の中には、こうした働きを支える様々な細胞を生み出す、まさに「血液の工場」とも言える細胞が存在するのです。それが「造血幹細胞」です。 造血幹細胞は、主に骨の中心部である骨髄に存在し、赤血球、白血球、血小板など、血液を構成する様々な細胞を生み出す能力を持っています。しかし、血液のがんや一部の難病では、この造血幹細胞が正常に機能しなくなり、健康な血液細胞を十分に作ることができなくなってしまいます。 そこで登場するのが「末梢血幹細胞移植」という治療法です。これは、健康な人の血液から採取した造血幹細胞を、患者に移植する治療法です。ドナーと呼ばれる提供者から提供された造血幹細胞は、患者の体内に入ると骨髄に移動し、そこで再び働き始めます。そして、健康な血液細胞を再び作り出すことで、血液の病気や一部の難病を根本から治療することを目指すのです。 末梢血幹細胞移植は、多くの患者にとって、まさに「希望の光」と言える画期的な治療法となっています。
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進化する放射線治療:強度変調放射線治療とは

がん治療において、患部に放射線を照射してがん細胞を死滅させる放射線治療は、手術、抗がん剤治療と並ぶ主要な治療法の一つです。近年、この放射線治療において、「強度変調放射線治療(IMRT)」という新しい技術が登場し、注目を集めています。 従来の放射線治療では、一定の強さの放射線を照射していましたが、がん細胞だけでなく、周囲の正常な細胞にもダメージを与えてしまうという課題がありました。IMRTは、コンピューター制御によって放射線の強度を細かく調整することで、複雑な形状のがんにも、周囲の正常な組織を避けながら、ピンポイントで放射線を照射することを可能にしました。 IMRTの最大のメリットは、がん細胞への照射量を増やしつつ、正常な組織への影響を最小限に抑えられることです。これにより、従来の放射線治療よりも副作用を軽減できる可能性が高まっています。また、治療効果を高めることも期待されており、がんの種類によっては、IMRTによって治癒率の向上が見込めるケースもあります。 IMRTは、すでに多くの医療機関で導入されており、がん治療の新たな選択肢として、今後ますます普及していくと考えられます。
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放射免疫測定法:微量物質を測る驚異の技術

- 放射免疫測定法とは放射免疫測定法(RIA)は、ごくわずかな量の物質を検出・測定できる、非常に感度の高い技術です。 1950年代に、血液中に含まれるごくわずかなインスリンを測定するために初めて応用されました。 その後、ホルモンやタンパク質など、生物の体内にごくわずかに存在する物質を測定する方法として、生物学や医学の分野で広く利用されるようになりました。 RIAは、鍵と鍵穴の関係のように、特定の物質とだけ結合する抗体の性質を利用しています。 抗体は、体内に侵入してきた異物(抗原)を認識して結合する、免疫システムにおいて重要な役割を担うタンパク質です。 測定したい物質と、それと全く同じ物質に放射性物質で目印をつけたものを用意し、抗体と混ぜ合わせます。 すると、両者は抗体の結合する場所を奪い合うようにして結合します。 この競合の結果、結合した放射性物質の量を測定することで、目的の物質がどれくらい存在していたのかを知ることができます。 目印となる放射性物質はごく微量でも検出できるため、従来の方法では測定できなかった、ごくわずかな物質の存在量を正確に把握することが可能となりました。
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体内を照らす光:ポジトロンCTとは

- ポジトロンCTとは何かポジトロンCTは、体内の活動状況を鮮明な画像で捉えることができる、最新の画像診断技術です。 CTやMRIが体の臓器や血管などの構造を主に映し出すのに対し、ポジトロンCTは細胞や組織の機能を可視化できる点が大きな特徴です。検査では、微量の放射性物質を含む薬剤を体内に投与します。この薬剤は、ブドウ糖のように、がん細胞など活発に活動している細胞に集まる性質を持っています。 薬剤が集まった部分からは、「ポジトロン」と呼ばれる微粒子が放出されます。ポジトロンCTはこのポジトロンを検出し、コンピューター処理によって画像化することで、がん細胞など活発な細胞がどこにあるのか、その大きさや形はどうかなどを詳細に把握することができます。ポジトロンCTは、がんの診断だけでなく、心臓病や脳疾患など、様々な病気の診断にも用いられています。 また、治療の効果判定や、病気の進行状況を把握するためにも利用されています。従来の画像診断では分からなかった体の機能を捉えることができるため、病気の早期発見や、より適切な治療法の選択に役立つことが期待されています。
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体内からがん細胞を狙い撃ち!放射線免疫療法とは?

- 放射線免疫療法とは放射線免疫療法は、体内のがん細胞だけを狙って攻撃する、新しいがん治療法です。従来の放射線療法と比べて、正常な細胞への影響が少なく、副作用を抑えながらがん細胞を効果的に治療できる点が特徴です。この治療法では、私たちの体の中に元々備わっている免疫の仕組みを利用します。免疫とは、体外から侵入してきた細菌やウイルス、あるいは体内で発生したがん細胞などを異物として認識し、攻撃する仕組みのことです。この時、異物を認識するために「抗体」と呼ばれるタンパク質が重要な役割を担っています。抗体は、特定の異物にのみ結合するという性質を持っているため、特定の種類のがん細胞だけに結合する抗体を作製することが可能です。放射線免疫療法では、この抗体に放射線を出す物質を結合させています。そして、この抗体を患者さんの体内に注射すると、抗体は血液に乗って体内を巡り、標的とするがん細胞の表面に結合します。抗体ががん細胞に結合すると、結合した放射性物質から放射線が放出され、がん細胞のDNAを破壊することで、がん細胞を死滅させます。このように、放射線免疫療法は、正常な細胞への影響を抑えつつ、がん細胞だけを狙い撃ちで攻撃できるため、副作用が少なく、効果の高いがん治療法として期待されています。
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放射線治療:がんと闘う見えない力

- 放射線治療とは放射線治療は、目に見えないエネルギーである放射線を利用して、がん細胞を死滅させる治療法です。がん細胞は、正常な細胞よりも放射線に対する感受性が高く、大量の放射線を浴びると細胞が傷つき、増殖する能力を失い、やがて死滅します。一方、正常な細胞も放射線の影響を受けますが、がん細胞に比べて回復力が強く、修復されます。放射線治療では、このがん細胞と正常な細胞の放射線に対する反応の違いを利用して、がん組織をピンポイントで攻撃します。 放射線治療には、体の外から放射線を照射する「外部照射」と、放射性物質を入れた小さな容器などを体内に挿入してがん組織に近づけて照射する「内部照射」の二つがあります。治療を受ける期間や回数は、がんの種類や進行度、患者さんの状態によって異なります。 放射線治療は手術、抗がん剤治療と並ぶがん治療の三大療法の一つであり、多くの場合、他の治療法と組み合わせて行われます。近年では、放射線治療技術の進歩により、副作用を抑えながら、より効果的にがんを治療できるようになってきています。
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SPECT:体内を探検する光の技術

- SPECTとは?SPECTは、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(Single Photon Emission Computed Tomography)の略称です。レントゲンやCT検査、MRI検査と同様に、体内の状態を詳しく調べるために用いられる画像診断法の一つです。SPECT検査では、微量の放射線を出す薬剤を体内に投与し、その薬剤から放出される微弱なガンマ線を特殊なカメラで捉え、コンピューター処理によって体の断層画像を構築します。臓器や組織への薬剤の集積の程度によって、血流や代謝の状態を可視化することができるのが特徴です。SPECT検査は、心臓、脳、骨、腫瘍など、様々な臓器の検査に用いられています。例えば、狭心症の診断では、心臓の筋肉にどれだけ血液が行き渡っているかを調べることができます。また、認知症の診断では、脳の血流や代謝の状態を調べることで、アルツハイマー病などの早期発見に役立ちます。SPECT検査は、身体への負担が少なく、比較的短時間で検査を行うことができるという利点があります。一方で、得られる画像の解像度はCTやMRIに比べると劣るという側面もあります。このように、SPECT検査は、体内の機能を画像化する、いわば体内を探検するための有用な医療技術であり、様々な疾患の診断や治療効果の判定に役立っています。
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放射線殺菌:薬品や熱を使わない滅菌方法

- 放射線殺菌とは? 食品や医療現場で使用される器具などを安全に利用するため、製品に付着した細菌やウイルスなどの微生物を完全に取り除く、または数を減らす操作を「滅菌」や「殺菌」と呼びます。その方法の一つに「放射線殺菌」という技術があります。 放射線殺菌とは、文字通り、放射線の持つエネルギーを利用して製品を滅菌する方法です。 放射線には、物質を構成する原子をイオン化する力があります。細菌やウイルスなどに放射線を照射すると、その細胞内の遺伝子(DNAやRNA)が破壊され、増殖できなくなります。 このような放射線の性質を利用して、食品や医薬品、医療機器などを滅菌し、安全性を高めているのです。 放射線殺菌は、加熱や薬品を使用する従来の滅菌方法と比べて、いくつかの利点があります。例えば、常温に近い温度で行うことができるため、熱に弱い製品でも変質させることなく滅菌できます。また、ガスや薬品を使用しないため、環境への負荷が低く、残留ガスの心配もありません。そのため、熱に弱い医薬品やプラスチック製の医療器具など、従来の方法では滅菌が難しかった製品にも利用が広がっています。
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がん治療の進化:トモセラピーとは

がんは、現代社会において私たち人類が直面する深刻な病気の一つであり、その治療法の開発と進歩は日進月歩で続いています。数あるがん治療法の中で、放射線治療は手術や薬物療法と並んで、がん治療の三本柱として重要な役割を担っています。 放射線治療は、高エネルギーの放射線をがん病巣に照射することで、がん細胞の遺伝子を破壊し、その増殖能力を奪う治療法です。放射線は正常な細胞にも影響を与える可能性がありますが、がん細胞は正常な細胞に比べて放射線に対する感受性が高いため、正常な細胞への影響を抑えつつ、がん細胞を効果的に攻撃することができます。 放射線治療の大きな利点の一つに、身体への負担が少ないことが挙げられます。外科手術のように身体を切開する必要がなく、治療に伴う痛みや出血もほとんどありません。また、多くの場合、入院の必要がなく、外来通院で治療を受けることができるため、患者さんは日常生活を送りながら治療を継続することができます。これは、患者さんの肉体的、精神的な負担を軽減し、生活の質を維持する上で非常に重要な要素となります。
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RIA:微量物質を測る精密な検査法

- RIAとは?RIAは放射免疫分析法(radioimmunoassay)の略称で、ごくわずかな物質を非常に高い精度で測定できる検査方法です。1950年代に血液中に含まれるインスリン量の測定に初めて応用されました。その後、生物学や医学の研究分野において、ホルモンやタンパク質など、微量な生体成分を測定する目的で広く利用されています。 RIAは、抗原と抗体の特異的な結合反応を利用します。分析したい物質(抗原)と、その抗原に特異的に結合する抗体、そして放射性同位元素で標識した抗原(標識抗原)を用いることで、非常に低い濃度の物質でも検出することができます。 検査方法は、まず、測定したい物質を含む試料と、既知量の標識抗原、そして抗体を混合します。すると、試料中の抗原と標識抗原が抗体の結合部位を奪い合うようにして結合します。この反応の後、結合していない抗原を分離し、結合している標識抗原の放射活性を測定します。試料中の抗原量が多いほど、結合する標識抗原量は減少し、放射活性は低くなります。このように、放射活性の強さを測定することで、試料中の抗原量を間接的に測定することができます。 RIAは感度が高く、特異性も高いため、様々な分野で利用されています。しかし、放射性同位元素を使用することから、取り扱いには注意が必要です。近年では、放射性物質を使用しない、より安全なELISA法などの測定法が開発され、普及が進んでいます。
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医療の進歩を支えるガンマカメラ

- ガンマカメラとはガンマカメラは、医療現場で病気の診断や検査に広く用いられている、放射線を利用した装置です。別名、アンガーカメラとも呼ばれています。体内の目に見えない病巣や臓器の状態を画像化できるため、病気の早期発見や正確な診断に大きく貢献しています。では、ガンマカメラはどのようにして体内の様子を可視化するのでしょうか? まず、検査を受ける患者には、微量の放射性物質を含む薬剤を注射したり、口から飲んでもらったりします。この薬剤は、検査の対象となる臓器や組織に集まる性質があります。 体内に投与された薬剤から放射されるガンマ線を、ガンマカメラで捉えることで、臓器や組織の形、働き、さらには病気の有無などを確認することが可能になります。ガンマカメラは、大きく分けてシンチレータ、光電子増倍管、コンピュータの3つの部分から構成されています。まず、体から放出されたガンマ線は、シンチレータと呼ばれる結晶に当たると、弱い光に変換されます。次に、光電子増倍管がこの微弱な光を検出し、電気信号に変換します。最後に、コンピュータがこの電気信号を処理し、臓器や組織の画像を構築します。ガンマカメラを用いた検査は、痛みや苦痛を伴わない非侵襲的な検査方法であるため、患者さんの負担も少ないという利点があります。また、臓器の機能や代謝の状態を画像化できるため、病気の早期発見や正確な診断に非常に役立ちます。
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医療における透視:体の内部を見る技術

- 透視とは透視とは、体の内部を映し出す検査方法の一つです。レントゲン撮影とよく似ていますが、透視では体の動きをリアルタイムで見ることができる点が大きく異なります。検査にはX線透視装置と呼ばれる機械を使います。この装置は、X線を照射し、それを体の反対側から検出することで、体の内部を画像化します。レントゲン撮影では静止画しか得られませんが、透視では動画として観察することができます。このため、透視検査では、心臓や肺などの臓器の動きや、バリウムなどの造影剤が体の中をどのように流れていくのかを、はっきりと確認することができます。そのため、病気の診断や治療方針の決定に大きく役立ちます。例えば、消化管の検査では、バリウムを飲みながら透視を行うことで、食道や胃、腸などの形や動きを詳しく調べることができます。また、心臓カテーテル検査では、心臓の血管にカテーテルと呼ばれる細い管を入れ、造影剤を注入しながら透視を行うことで、血管の狭窄や閉塞などの状態を診断することができます。このように、透視は、体の内部の状態を詳しく調べることのできる、非常に有用な検査方法と言えます。
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PET検査:がん診断の最先端

- PET検査とはPET検査は、陽電子放出断層撮影と呼ばれる、体内の状態を画像で確認する検査です。核医学という分野で行われる検査の一種で、放射線を利用するのが特徴です。検査を受ける際には、まずごく微量の放射性物質を含む薬剤を体内に注射します。この薬剤は、ブドウ糖によく似た性質を持っており、細胞が活発に活動している場所ほど多く集まります。例えば、がん細胞は正常な細胞よりも活発に分裂と増殖を繰り返すため、より多くの薬剤が集まります。注射した薬剤から、陽電子と呼ばれる小さな粒子が放出されます。陽電子は体内の電子と衝突し、その際に微弱なエネルギーであるガンマ線を放出します。PET検査では、このガンマ線を特殊なカメラで捉え、コンピューター処理によって体の断面画像を作り出します。この画像からは、薬剤の集まり具合によって、臓器や組織の活動状況を知ることができます。がん細胞は薬剤を多く取り込むため、周囲の正常な組織と比べて明るく映し出されます。そのため、がんの診断や病状の把握、治療効果の判定などに役立ちます。
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サイバーナイフ:身体に優しい定位放射線治療

- サイバーナイフとはサイバーナイフは、頭蓋内や体幹、四肢などにできた腫瘍を高精度に治療する定位放射線治療装置です。従来の放射線治療では、正常な細胞にもダメージを与えてしまう可能性がありました。これは、放射線が腫瘍だけでなく、周囲の正常な組織にも広がってしまうためです。一方、サイバーナイフは、コンピューター制御されたロボットアームによって患部に放射線を照射します。このロボットアームは、患者の呼吸や体の動きに合わせて動くことができるため、腫瘍に対してピンポイントで放射線を当てることができます。そのため、周囲の正常な組織への影響を最小限に抑えることができ、副作用の軽減につながります。サイバーナイフは、従来の放射線治療では治療が難しかった、小さな腫瘍や複雑な形状の腫瘍に対しても有効です。また、治療時間も短く、多くの場合、入院の必要がありません。そのため、患者の負担を軽減できる治療法として注目されています。
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さい帯血移植:未来への希望をつなぐ

さい帯血移植とは、生まれたばかりの赤ちゃんとお母さんをつないでいるへその緒と胎盤から採取した血液である「さい帯血」を使った新しい治療法です。 さい帯血には、骨の内部にある骨髄と同じように、血液を作り出すもととなる「造血幹細胞」がたくさん含まれています。この造血幹細胞を移植することで、白血病など、血液に異常が起こる病気の患者さんの命を救うことができるのです。 さい帯血移植は、骨髄移植と比べて、適合する型が見つかりやすいというメリットがあります。また、さい帯血は採取してからすぐに移植することができるため、患者さんは移植までの時間を短縮することができます。 さい帯血移植は、まだ新しい治療法ではありますが、白血病などの血液疾患の治療に大きな期待が寄せられています。
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MRI検査とは?

皆さんは、病院で検査を受ける際に「MRI」という言葉を耳にしたことはありますか? MRI検査は、体の内部を鮮明に映し出すことができる検査です。レントゲン検査のように放射線を使うわけではないので、被曝の心配がなく、安心して受けることができます。 MRI検査では、強力な磁石と電波を用いて、体の様々な組織や器官の違いを、信号の強弱として捉え、画像化します。この検査は、脳や脊髄などの神経系はもちろんのこと、関節や筋肉、内臓など、体の幅広い部位の診断に役立ちます。 例えば、脳梗塞や脳腫瘍などの脳疾患、椎間板ヘルニアなどの脊髄疾患、靭帯損傷や筋肉断裂などの運動器疾患、さらに、肝臓や膵臓などの内臓疾患など、様々な病気の診断に用いられています。 MRI検査は、痛みや苦痛を伴わない検査であるため、体の負担が少なく、安心して受けることができます。検査時間は、検査部位や撮影方法によって異なりますが、30分から1時間程度です。検査中は、大きな音がしますが、検査担当者の指示に従っていれば問題ありません。
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体の奥底を覗く:コンピューター断層撮影

- コンピューター断層撮影とはコンピューター断層撮影(CT)は、身体の内部を詳しく調べるための医療画像診断装置です。レントゲン撮影と同様にエックス線を利用しますが、CTでは身体の周囲をぐるりと回転するようにエックス線を照射します。そして、そのデータをコンピューターで処理することで、身体の断面図や立体的な画像を作り出すことができます。従来のレントゲン写真では、臓器が重なって写ってしまうため、その背後にある臓器や組織の状態を把握することが困難でした。しかし、CTでは身体の断面図を得ることができるため、臓器の位置や形状、大きさなどを正確に把握することができます。さらに、コンピューター処理によって、骨、筋肉、脂肪など、組織ごとの密度差を画像化することも可能です。このCT検査によって、がんや腫瘍、出血、骨折、血管の異常など、様々な病気を早期に発見し、診断することができます。また、治療の効果判定や術後の経過観察などにも広く活用されています。近年では、技術の進歩により、より鮮明な画像を撮影できるようになり、さらに低線量での検査も可能になってきています。
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乳房温存手術後の追加照射:がん治療の精度を高める

乳房温存手術は、乳がんの手術において、乳房を残すことができる方法として知られています。しかし、手術でがんを取り除いた後も、目に見えないがん細胞が残っている可能性があり、再発を防ぐために放射線療法が行われます。 放射線療法の一つである接線照射は、乳房全体に放射線を照射することで、残っているかもしれないがん細胞を死滅させることを目的としています。これに加えて、がんがあった場所に集中的に放射線を照射する方法があり、これを追加照射といいます。 追加照射は、接線照射と組み合わせることで、がんのあった場所付近における再発リスクをさらに低下させる効果が期待できます。これは、例えるなら、部屋全体を掃除した後に、特に汚れがひどかった場所を集中的に掃除するようなものです。 追加照射は、がんの種類や大きさ、手術後の病理検査の結果などを考慮して、医師が判断します。追加照射を行うことで、より高い治療効果が期待できますが、一方で、皮膚の反応や心臓への影響など、副作用のリスクも高まる可能性があります。そのため、医師と患者でよく相談し、治療方針を決定していくことが重要です。
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原子力発電の安全性: 超音波で見る原子炉

原子力発電は、他の発電方法と比べて、資源の消費量が少なく、大量の電力を安定して供給できるという大きな利点があります。しかし、原子力発電所は、ひとたび事故が起きれば、環境や人々の健康に深刻な影響を与える可能性があるため、安全性の確保が何よりも重要となります。 原子力発電所では、ウラン燃料が核分裂反応を起こす際に発生する熱を利用して、水を沸騰させ、蒸気を発生させます。この蒸気の力でタービンを回し、発電機を動かすことで、電力が生み出されます。 この過程において、放射線を出す物質を封じ込め、外部に漏れないようにすることが極めて重要です。原子炉は、頑丈な格納容器で覆われており、万が一、燃料が溶け出すような事故が起きても、放射性物質の放出を最小限に抑えるように設計されています。 さらに、原子力発電所では、常に厳重な安全管理体制が敷かれており、機器の点検や運転状況の監視が徹底されています。また、万が一、事故が発生した場合に備えて、緊急時対応計画が策定されており、定期的な訓練を通じて、関係機関との連携強化が図られています。このように、原子力発電は、その安全性確保のために、様々な対策が講じられているのです。
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人々を守る国際機関:国際放射線防護委員会

- 放射線防護の国際的な基準 人々を放射線の影響から守ることは、原子力発電所をはじめ、医療や工業など、様々な分野で放射線を利用する上で極めて重要です。 この重要な役割を担っているのが、国際放射線防護委員会(ICRP)です。1928年に設立されたICRPは、世界中の科学者が集まり、放射線の影響に関する最新の科学的知見に基づいた調査研究を行い、その結果を基に国際的な放射線防護の基準を勧告しています。 ICRPが勧告する内容は、放射線の人体への影響を評価し、被ばくによるリスクを最小限に抑えるための具体的な対策を提示したものです。 具体的には、放射線作業従事者や一般公衆に対する線量限度、放射線施設の安全設計や運用、緊急時における防護対策など、多岐にわたります。これらの勧告は、国際原子力機関(IAEA)などを通じて世界各国に広まり、それぞれの国における放射線防護に関する法律や規制の基礎として活用されています。 ICRPは、科学技術の進歩や新たな知見が得られるのに合わせて、勧告内容を定期的に見直し、改訂を続けています。 このようにして、ICRPは、放射線防護の分野において国際的なリーダーシップを発揮し、人々の健康と安全を守るために重要な役割を担い続けています。
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核医学検査:体の中のミクロな世界を探る

- 核医学検査とは核医学検査は、ごくわずかな放射線を含む薬剤を体内に投与し、そこから放出される放射線を専用のカメラで捉えることで、病気の診断や状態を把握する検査方法です。検査で用いる薬剤は、検査対象となる臓器や組織に集まりやすい性質を持っているため、体内の特定の場所に集まります。この薬剤が出す放射線をカメラで撮影することで、臓器や組織の働きや状態を画像として映し出すことができます。核医学検査の特徴は、臓器や組織の機能を調べることができる点です。これは、レントゲン検査やCT検査など、体の構造を調べる検査とは大きく異なる点です。例えば、心臓であれば、心臓の筋肉の動きや血液の流れを調べることができますし、脳であれば、脳の血流や代謝の状態を調べることができます。このように、核医学検査は、臓器や組織の機能を評価することで、病気の早期発見や適切な治療方針の決定に役立ちます。さらに、核医学検査で用いる放射線の量はごくわずかであるため、体への負担は非常に少ないです。検査時間も比較的短く、検査後すぐに日常生活に戻ることができます。安全性が高く、体の負担が少ない検査方法として、近年注目されています。
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症状を抑える対症療法とその役割

- 対症療法とは病気になったとき、私たちは一日も早く元気になりたいと願います。しかし、病気の原因によっては、すぐに根本から治すことが難しい場合もあります。このような時に、病気そのものを治すのではなく、つらい症状を和らげ、楽にする治療法が「対症療法」です。例えば、風邪をひいて熱や咳が出たときのことを考えてみましょう。風邪の原因であるウイルスを直接退治する薬はまだありません。そこで、高い熱を下げるために解熱剤を使い、つらい咳を抑えるために咳止め薬を使います。このように、病気の原因に直接働きかけるのではなく、熱や咳といった症状を軽減することで、私たちは体力の回復を待つことができるのです。対症療法は、患者さんの苦痛を和らげ、日常生活を送りやすくする上で、非常に重要な役割を果たします。激しい痛みや吐き気、眠れないほどの痒みなど、つらい症状が続くと、体も心も疲れてしまいます。対症療法によってこれらの症状を緩和することで、患者さんは治療に専念できるようになり、生活の質を保ちながら、回復への道を歩むことができるのです。ただし、対症療法はあくまでも症状を抑えるための治療法です。根本的な治療と並行して行う場合が多く、自己判断で薬を飲み続けることは危険です。医師の指示に従い、適切な治療を受けるようにしましょう。
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体内からがん細胞を狙い撃ち:組織内照射とは?

- 組織内照射とは組織内照射は、体内に発生したがん細胞を、放射線を用いて直接攻撃する治療法です。外科手術のように患部を切除するのではなく、小さな放射線源を針や細い線状のもの(ワイヤー)などを使って、がん組織に直接送り込みます。この治療法の最大の利点は、がん細胞だけにピンポイントで高い放射線を照射できることです。そのため、周囲にある正常な細胞への影響を抑えながら、効果的にがん細胞を破壊することができます。従来の外部から放射線を当てる治療法と比べて、治療期間が短く、身体への負担が少ないというメリットもあります。また、治療後も比較的早く日常生活に戻ることが期待できます。組織内照射は、前立腺がん、子宮頸がんなど、様々な種類のがん治療に用いられています。ただし、がんの種類や進行度、患者の状態などによって、治療の効果やリスクは異なります。治療を受けるかどうかは、医師とよく相談し、自身の状況に最適な治療法を選択することが重要です。