
原子炉を守る最後の壁:格納容器の安全性を検証する
原子力発電所では、国民の安全を守るため、幾重もの安全対策が講じられています。その中でも、原子炉を包み込む格納容器は、放射性物質の拡散を最終的に防ぐための重要な防護壁です。
原子炉格納容器は、その頑丈さゆえに、通常の運転状態では想定し得ないような極めて厳しい事故、すなわち「苛酷事故」が起こったとしても、その安全性を確保できるよう設計されています。
「苛酷事故を想定した試験装置」は、実際に起こる可能性は極めて低いものの、万が一に備え、この苛酷事故時における格納容器の安全性を評価するために開発されたものです。
この試験では、高温高圧の環境下で溶け落ちた炉心や放射性物質を模擬し、それが格納容器にどのような影響を与えるのかを調べます。具体的には、格納容器内の圧力や温度、水素濃度などを計測し、長時間にわたる格納容器の健全性を詳細に評価します。これらのデータは、苛酷事故時の格納容器の挙動をより正確に予測し、安全対策をさらに強化するために活用されます。