身近になったエスノグラフィ:テクノロジーと共に
- エスノグラフィとは
エスノグラフィという言葉は、聞き慣れない方も多いかもしれません。元々は、文化人類学や社会学の研究分野で使われてきた調査手法の一つです。「民族誌」という意味を持つように、特定の民族や集団の文化や行動様式を記録し、記述することを目的としています。
具体的には、調査対象となる地域や集団に実際に赴き、長期間にわたって生活を共にすることから始まります。その場の一員として人々に寄り添い、日常生活を共に過ごす中で、行動を観察したり、インタビューを行ったりすることで情報を収集します。
エスノグラフィの特徴は、単なる客観的な観察ではなく、対象となる人々の考え方や感じ方に深く共感しながら理解を深めようとする点にあります。人々の行動の背景にある心理、習慣、価値観、社会関係などを明らかにすることで、その集団における社会構造や文化の全体像を浮かび上がらせることを目指します。
近年では、エスノグラフィは、文化人類学や社会学だけでなく、マーケティングや商品開発、サービスデザインなど、様々な分野で応用されるようになっています。