「J」

その他

技術者教育とJABEE認定

- JABEEとは JABEE(日本技術者教育認定機構)は、日本の技術者を育成する教育機関やそのプログラムの質を高めることを目的とした団体です。 具体的には、大学や高等専門学校などで行われている技術者教育プログラムが、世界で通用する基準を満たしているかどうかを審査し、認定を行っています。 JABEEは1999年に設立されました。 当時の日本は、経済のグローバル化が進み、海外で活躍できる技術者の育成が急務となっていました。 しかし、日本の技術者教育は、国内の事情に合わせた独自の発展を遂げてきたため、国際的な基準との間にズレが生じていました。 そこで、国際的な基準に合致した質の高い技術者教育を広めるためにJABEEが設立されたのです。 JABEEが認定した教育プログラムを修了した学生は、国際的に通用する技術者として認められるだけでなく、社会からの信頼も高まります。 JABEEの活動は、日本の技術者教育の質向上、ひいては日本の産業の発展に大きく貢献しています。
原子力施設

J-PARC:物質と宇宙の謎に迫る

- 世界最高クラスの陽子ビームを生み出す巨大施設茨城県東海村に位置するJ-PARCは、Japan Proton Accelerator Research Complexの略称で呼ばれており、世界でもトップクラスの規模を誇る陽子加速器施設です。ここでは、物質を構成する極小の粒子である陽子を光の速度に限りなく近い速度まで加速させています。そして、このとてつもないエネルギーを持った陽子ビームを様々な物質に衝突させることで、物質の構造や宇宙の成り立ちを探る研究が行われています。J-PARCの特徴は、単に陽子を加速させるだけでなく、その陽子をぶつけることで様々な種類の二次粒子を作り出すことができる点にあります。この二次粒子には、素粒子物理学の研究に欠かせないニュートリノや、物質の性質を調べるためのミュオンなどがあり、国内外の研究者にとって非常に重要な研究施設となっています。J-PARCで行われている研究は、基礎科学の発展に貢献するだけにとどまりません。例えば、物質の構造を原子レベルで解析できることから、新材料の開発や医療分野への応用も期待されています。また、陽子ビームを用いたがん治療の研究も進められており、将来的には多くの人々の健康に貢献する可能性も秘めています。このように、J-PARCは世界最高水準の研究施設として、物質の謎から宇宙の起源、そして人間の未来まで、幅広い分野の研究を支える重要な役割を担っています。
その他

エネルギー安全保障の要:JOGMECの役割

日本はエネルギー資源の多くを海外からの輸入に頼っており、資源の安定供給は経済成長と国民生活の安定にとって欠かせない要素です。このような状況下で、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は、資源の安定供給を確保するという重要な役割を担っています。 2004年の設立以来、JOGMECは石油や天然ガス、金属鉱物資源などの確保に向けた幅広い活動を行っています。具体的には、世界各地の資源開発プロジェクトへの出資や融資を通して、日本企業が参画しやすくなるよう支援しています。また、資源の探査や開発に関する技術的な知見を提供することで、プロジェクトの成功確率を高め、安定供給に貢献しています。 さらに、JOGMECは資源に関する情報収集や分析にも力を入れています。国際的なエネルギー情勢や資源市場の動向を的確に把握し、その情報を日本政府や企業に提供することで、資源の安定確保に向けた戦略立案を支援しています。このように、JOGMECは資源の安定供給という重要な使命を担い、日本経済の持続的な成長と国民生活の安定に大きく貢献しています。
原子力施設

日米共同研究:JUPITER計画

- 高速増殖炉開発における日米協力1970年代から1980年代にかけて、日本とアメリカは共同で、高速増殖炉の実用化を目指した大型研究プロジェクトに取り組みました。このプロジェクトは「JUPITER計画」と呼ばれ、これは「Japan-United States Program of Integral Test and Experimental Researches」の略称です。当時の日本の原子力開発を牽引していた動力炉・核燃料開発事業団(動燃、現在の日本原子力研究開発機構)と、アメリカのエネルギー省(DOE)が協力し、高速増殖炉の実用化に不可欠な様々なデータを取得、解析を行いました。高速増殖炉は、従来の原子炉とは異なり、ウラン資源をより効率的に利用できるだけでなく、使用済み燃料を再処理して燃料として使うことができるという特徴を持っています。そのため、将来のエネルギー問題解決への貢献が期待されていました。JUPITER計画では、日米両国の英知を結集し、高速増殖炉の安全性、信頼性、経済性など、様々な観点から研究開発が進められました。JUPITER計画を通じて得られた貴重なデータや知見は、その後の日米両国における高速増殖炉開発に大きく貢献しました。日米の協力は、単に技術的な側面だけでなく、研究者同士の交流や相互理解を促進するなど、多岐にわたる成果をもたらしました。JUPITER計画は、国際協力によって原子力技術の平和利用を推進した輝かしい事例として、現在も高く評価されています。
原子力の安全

JASPER計画:高速増殖炉の安全性を計算科学で探る

- JASPER計画とはJASPER計画は、Joint Actinide Shock Physics Experimental Researchの略称で、高速増殖炉の安全性に関する重要な研究プロジェクトです。これは、日本とアメリカが共同で進めている計画であり、両国の持つ高度な技術を結集することで、高速増殖炉における核物質の振る舞いを詳細に解明することを目指しています。高速増殖炉は、従来の原子炉とは異なり、ウラン燃料をより効率的に利用できるだけでなく、使用済み燃料を再処理してエネルギーに変換できるという利点があります。しかし、高速中性子と呼ばれる高いエネルギーを持った中性子を利用するため、その安全性評価には、従来の原子炉とは異なるアプローチが必要となります。JASPER計画では、スーパーコンピュータを用いたシミュレーションと、実際に実験施設を用いた実験の両面から、高速増殖炉の安全性評価に必要なデータを取得します。具体的には、高速中性子の衝突によって原子核に衝撃波が発生する現象や、その衝撃波が核物質の密度や温度にどのような影響を与えるかを詳細に解析します。これらの研究成果は、高速増殖炉の設計や安全基準の策定に反映されるだけでなく、将来の原子力エネルギーの利用においても重要な役割を果たすと期待されています。JASPER計画は、日米の協力によって進められる国際的な研究プロジェクトであり、その成果は世界中の原子力研究機関から注目されています。
原子力施設

日本の原子力発電の礎を築いたJPDR

1963年10月、日本の科学技術史に新たな1ページが刻まれました。茨城県東海村にある日本原子力研究所、現在の日本原子力研究開発機構の一角で、日本初の発電用原子炉「JPDR」が運転を開始したのです。「動力試験炉」を意味する英語名「Japan Power Demonstration Reactor」の頭文字を取ったこの原子炉は、文字通り日本の原子力発電の夜明けを告げる象徴となりました。 JPDRは、イギリスから導入した技術を基に、国内の企業が総力を挙げて建設しました。出力は1万3000キロワットと、当時の火力発電所と比べると小規模でしたが、日本は原子力の平和利用という新たな道を歩み始めたのです。JPDRの運転開始は、単に電力を生み出す以上の意義を持っていました。それは、資源の乏しい日本にとって、エネルギー自給への道を切り開くという大きな夢を象徴していたのです。 JPDRは、その後の日本の原子力発電技術の礎を築きました。運転データや経験は、その後の国産原子炉の開発に活かされ、日本の原子力発電は大きく発展していくことになります。そして、JPDRは1976年にその役割を終え、現在は原子炉解体技術の開発に貢献する施設として、日本の原子力研究の中心的役割を担っています。
原子力施設

日本の材料研究を支えるJMTR:50年の歴史と未来

- 材料試験炉JMTRとはJMTRはJapan Materials Testing Reactorの略称で、日本語では材料試験炉と呼ばれます。原子炉の開発には、過酷な環境に耐えられる特殊な材料が欠かせません。JMTRは、こうした原子炉で使用する材料の研究を行うための原子炉として、1965年から茨城県の大洗研究所で稼働しています。JMTRは、50MWという出力と毎秒4×10の18乗個という高密度の中性子束が特徴です。中性子とは、原子核を構成する粒子のひとつで、電気的に中性であるため、他の物質と反応しやすく、材料の性質を変化させる性質を持っています。原子炉の中では、ウランなどの核燃料が核分裂反応を起こす際に、大量の中性子が放出されます。JMTRでは、この高密度の中性子を利用して、原子炉で使用する材料や燃料が、実際に原子炉内で想定される高温・高放射線環境下で使用できるかどうかを調べるための試験を行っています。具体的には、材料に中性子を照射することで、強度や耐食性、寸法安定性などの変化を調べたり、燃料の安全性や性能を評価したりしています。これらの試験を通して、原子力発電の安全性や信頼性の向上に貢献しています。
原子力の安全

原子力発電の平和利用を支えるJASPAS

- JASPASとはJASPASは、Japan Support Programme for Agency Safeguardsの略称で、日本語では「国際原子力機関保障措置への支援に関する日本支援計画」といいます。これは、国際原子力機関(IAEA)が行っている保障措置活動を、技術面から支援する日本のプログラムです。IAEAは、原子力の平和利用を促進し、核兵器などの軍事転用を防ぐことを目的とした国際機関です。保障措置は、IAEAが加盟国の原子力施設などを査察し、核物質が平和目的のみに利用されていることを確認する活動であり、IAEAの重要な役割の一つです。JASPASは、日本がその技術力を活かして、この重要な保障措置活動に貢献していることを示すものです。具体的には、JASPASは、保障措置技術の向上のための研究開発や、IAEA査察官の訓練、機材の提供などを行っています。例えば、日本の分析技術を用いて、IAEAが回収した試料の分析精度を高めるといった貢献をしています。JASPASは、1981年に日本政府がIAEAに提案し、開始されました。以来、日本の技術と経験を活かして、IAEAの保障措置活動の強化に貢献し、国際的な核不拡散体制の維持・強化に重要な役割を果たしてきました。今後も、日本はJASPASを通じて、国際社会の平和と安全に貢献していくことが期待されています。
その他

原子力工学を支える縁の下の力持ち JENDL

原子力発電所をはじめ、原子力施設の設計や運転、安全評価を行う上で、原子核の反応に関する膨大なデータ、すなわち「核データ」が欠かせません。原子炉の炉心では、核燃料であるウランやプルトニウムに中性子が衝突することで、様々な反応が起きています。主要な反応として、核分裂と核変換が挙げられます。 核分裂は、ウランやプルトニウムの原子核に中性子が衝突することで、原子核が分裂し、エネルギーと新たな中性子を放出する反応です。この反応は、原子力発電において熱エネルギーを生み出すための根幹となる反応です。一方、核変換は、ウランやプルトニウムの原子核に中性子が衝突することで、原子核が別の種類の原子核に変化する反応です。 これらの反応は、中性子のエネルギーや衝突する原子核の種類によって、その起こりやすさや反応の種類が異なります。さらに、それぞれの反応によって放出されるエネルギーや粒子の種類も異なります。核データは、このような原子核の反応に関する情報を網羅的に集約したものであり、原子炉の設計や運転、安全評価を行う上で欠かせない情報源となっています。 例えば、原子炉の設計においては、核データに基づいて、炉心の大きさや形状、使用する核燃料の種類や量が決定されます。また、原子炉の運転においては、核データに基づいて、中性子の量やエネルギー分布を制御し、安定した運転を維持しています。さらに、原子炉の安全評価においては、核データに基づいて、事故時の原子炉の挙動を予測し、安全性を確認しています。このように、核データは原子力工学の基礎となる重要な情報であり、原子力開発を進める上で欠かせないものです。
放射線について

JISCARD:航空機利用時の宇宙線被ばく量を知る

私たちが毎日暮らす大地からは、自然放射線と呼ばれるごく微量の放射線が常に出ています。これは自然現象であり、私たち人間を含めた生物は、この微量の放射線とともに進化を遂げてきました。 しかし、飛行機に乗って空高く上昇すると、地上とは異なる種類の放射線、宇宙放射線を浴びることになります。宇宙放射線は、太陽や銀河系外の遥か彼方からやってくる高エネルギーの粒子で、地上に届くまでに大気の層によって遮られます。しかし、飛行機が飛行する高度1万メートル付近では、地上に比べて大気の層が薄くなっているため、宇宙放射線を遮る効果が弱まります。そのため、飛行機に乗っている間は、地上よりも多くの宇宙放射線を浴びることになります。 とはいえ、航空機による旅行で浴びる宇宙放射線の量はごくわずかであり、健康に影響を与える心配はありません。一回の旅行で浴びる放射線量は、胸部レントゲン撮影の数分の1程度といわれています。ただし、頻繁に飛行機を利用する人や、妊婦の方などは、浴びる放射線量が多くなる可能性があるため、少し注意が必要です。具体的には、航空会社に問い合わせて、飛行ルートや高度、飛行時間などを考慮した上で、より放射線量の少ない便を選ぶなどの対策が考えられます。
その他

地球を救う協力体制:JIとは?

地球温暖化は、私たちの暮らしや経済活動、そして地球全体の生態系に深刻な影響を与える大きな問題です。世界規模で気温が上昇することで、海面の上昇や異常気象の発生など、様々な影響が現れてきています。この問題に国際社会が協力して取り組むため、様々な対策が進められています。その一つが、京都議定書で定められた柔軟性措置の一つであるJI(共同実施)です。 JI(共同実施)とは、温室効果ガスの排出削減義務を負う先進国が、他の先進国に対して温室効果ガス削減事業を行い、その結果生じた排出削減量を獲得できる仕組みです。具体的には、日本などの先進国が、排出削減義務を負う他の先進国で行った省エネルギー機器導入や再生可能エネルギー発電導入などの事業に投資し、その事業によって削減された温室効果ガスの排出量を自国の排出削減目標の達成に利用することができます。 JIは、先進国間で資金や技術を共有することで、より効率的・効果的に温室効果ガスの排出削減を進めることができるというメリットがあります。また、途上国への技術移転を促進する効果も期待されています。 地球温暖化は、私たち人類共通の課題です。JIのような国際協力の枠組みを活用しながら、地球全体の温室効果ガス排出量削減に向けて、積極的に取り組んでいく必要があります。